研究課題/領域番号 |
19K08965
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研究機関 | 北陸大学 |
研究代表者 |
武本 眞清 北陸大学, 薬学部, 講師 (60379237)
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研究分担者 |
周尾 卓也 北陸大学, 薬学部, 講師 (90399006)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | VZV / Tricin / Foscarnet / iPS細胞 / 網膜色素上皮細胞 |
研究実績の概要 |
【1)ヒト網膜由来細胞株におけるウイルス増殖能】 ヒト網膜ミュラー細胞株(MIO-M1)とヒト網膜色素上皮細胞株(ARPE-19)とに水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)を感染させ、ウイルスDNAの増加をリアルタイムPCRで定量した。その結果MIO-M1ではARPE-19に比べてウイルス増殖能が著しく低いことが明らかとなった。 【2)ヒト網膜由来細胞株における抗ウイルス薬の効果】 MIO-M1ではウイルスDNA定量を、ARPE-19ではプラークアッセイをそれぞれ行い、AcyclovirやTricinをはじめ複数の抗ウイルス薬の効果を比較した。その結果、MIO-M1ではtricinが、ARPE-19ではFoscarnetが、それぞれ最も強くウイルス増殖抑制を示した。またMIO-M1ではケモカインとマトリックスメタロプロテアーゼの産生抑制も検討したが、tricinによる抑制が最も強いことが判った。 【3)ヒトiPS細胞の培養条件検討】 複数のメーカーが販売する幹細胞用培地を比較し、ヒトiPS細胞の培養条件を検討した。1ヶ月間培養した結果では、培地交換を毎日行うものと隔日で行うものとで細胞の増殖率やスフェロイドのサイズにほとんど差は見られなかったため、隔日での培地交換が可能なものを採用した。 【4)ヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞の誘導】 分担研究者の周尾卓也氏が、ヒトiPS細胞から誘導した網膜色素上皮細胞の培養系を作成した。同系を用いて、現在VZV感染許容性と細胞侵入に関与する分子の解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度はVZVのウイルスストックの力価が上がらなかったため、網膜オルガノイドの作成を開始することができず、iPS細胞の培養条件検討に終始した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度後半に高力価のウイルスストックを調整できたので、すでに網膜オルガノイドの作成を開始しているが、オルガノイドへのウイルス感染条件を検討する必要があるので、今後2週間から1ヶ月間隔でオルガノイド作成を開始していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ウイルスストックの調製に手間取ってしまい、網膜オルガノイドの作成に遅延が生じたため。オルガノイド作成の回数を増やすことで吸収されるものである。
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