現在唯一実用化されている結核ワクチンであるBCGの予防効果について、ヒト結核病態を再現できるカニクイザルを用いて評価した。本実験から①BCGは全身性結核には非常に強い防御効果を示すものの、肺結核に対する効果は弱いこと、②BCGのワクチン効果と相関する結核抗原特異的免疫応答や肺局所への浸潤細胞は同定されなかったこと、③BCGワクチンと肺への肉芽腫形成との関連性は認められないことを見出した。また血漿のメタボローム解析からBCGのワクチン効果を示さなかった個体ではメチオニン・システイン代謝経路に異常が認められた。今回のBCGワクチンの結果から肺結核にも効果を示す追加免疫法の開発が必要である。
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