研究課題
新規免疫細胞である2型自然リンパ球(ILC2)は脂肪組織において白色脂肪を褐色化させることが報告され、さらに近年では筋肉における糖代謝、運動持続性などへの寄与も示唆されており、ILC2の糖代謝へのよい作用が注目されている。申請者は、これまでにマウスより肝臓特異的なILC2の同定/単離に成功し、肝臓ILC2がIL-13を介して強力な糖新生抑制作用を発揮することや、肝臓ILC2から分泌されるIL-13がヒト肝細胞においても直接糖新生を抑制することを見出した。本研究では、肝臓ILC2/IL-13による糖代謝制御機構を解明するために、シグナル依存的GATA3転写複合体機能のメカニズムを明らかにすることを目的として研究をすすめてきた。本年度は前年度までの研究で確立したsingle cell RNA-seqの実験系のデータを用いて、様々な解析手法で細胞の性質を検討し、それを踏まえたChIP-PCR、IP-WBなどによるvalidationを行った。これにより、網羅的解析からみえた候補が実際に機能的に重要であることを明らかになった。ILC2もhepatocyteも一様な集団ではなく、細胞ごとに性質が異なる多様な集団であり、single cell RNA-seqにより得られる知見の有用性を実感した。また、相互作用解析から肝臓ILC2の糖新生抑制作用について特定の肝細胞集団とILC2集団との相互作用を見出し、それがXXX signalを介することを見出し、それをin vitroの機能解析により実証できた。現在、本研究の集大成を投稿論文としてまとめており、これまで見出したコンセプトの妥当性を裏付けるデータがさらに蓄積され、より信頼性の高い成果を報告できると考えている。
すべて 2021
すべて 学会発表 (15件)