研究実績の概要 |
NAFLD合併2型糖尿病患者を対象に、同等にA1cを低下させながら、インスリン値を低下させるSGLT2阻害薬及び上昇させるSU薬、各々が肝病理とエネルギー代謝に及ぼす効果を比較検討した。 臨床/病理学的にNAFLDと診断された2型糖尿病患者をグリメピリド0.5㎎(SU群)あるいはトホグリフロジン20mg(SG群)に無作為割り付けし、48週間治療した。治療前後に肝生検を施行し、肝脂肪化、炎症、線維化をスコア化し、グルコ-スクランプ検査を含む各種代謝マ-カ-の測定を行った。主要評価項目は肝組織スコア。サンプルサイズは40例と算出した。 48週投与後、SG群では、Steatosis (1.80 ± 0.07 → 1.00 ± 0.80, P=0.008)、Lobular inflammation (1.40 ± 0.68 → 0.80 ± 0.41, P=0.001)、Ballooning (1.20 ± 0.70 → 0.55 ± 0.61, P=0.000)、Fibrosis (1.45 ± 0.89 → 0.75 ± 0.97, P=0.000)はいずれも有意に軽減した。SU群ではBallooningスコアのみ有意に低下した。HbA1cはともに有意に低下 (SG群 8.1 ± 1.1 → 6.9± 0.9 %, P=0.002;SU群 8.3 ± 1.3 → 7.4 ± 0.9%, P=0.001)。体重は、SU群で変化せず、SG群で有意に低下(79.8 ± 18.2 → 75.2 ± 17.6 kg, P=0.000)。肝酵素値は、SU群で変化せず、SG群で有意に低下(AST: 42.2 ± 28.5→ 25.5 ± 17.0 IU/L、ALT: 59.4 ± 46.7 → 30.8 ± 23.6 IU/L)。脂質は両群ともに変化なし。 SUとSGは48週後に同等にA1cを低下させたが、SGのみが体重・肝酵素・肝病理スコアを有意に低下させた。
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