研究実績の概要 |
腸管内分泌細胞株STC-1 を用いた予備的検討の結果、Car8 をノックダウンすることで長鎖脂肪酸刺激によるGLP-1 分泌が増強し、過剰発現により抑制されることを確認した。またPLC 阻害薬(U73122) 、IP3R 阻害薬(2-Aminoethoxydiphenyl borate : 2-APB) 存在下では、Car8発現抑制による脂肪酸刺激GLP-1分泌増強効果は有意に減弱を認めたことから、GLP-1分泌経路において、長鎖脂肪酸受容体(GPR120,GPR40)の下流、すなわちGq-phospholipase C (PLC) -IP3 経路にCar8 が関わる可能性が高いことが示唆された。さらに胆汁酸・oleoylethanolamine (OEA)(それぞれGPR131・GPR119 を受容体とし、Gs と共役することが知られている) の刺激によるGLP-1分泌はCar8の発現抑制によって影響を受けず、さらにproteinkinase A (PKA) 阻害剤(H89)、Epac 阻害剤(ESI-09)の存在下では、Car8発現抑制による脂肪酸刺激GLP-1分泌増強効果は変化を認めなかったことから、cAMP-PKA 経路の関与は否定的と考えられた。 中枢神経系と同様、L 細胞内においてもCar8 がIP3R を介した小胞体からのカルシウム流出制御に関与している可能性があり、Car8 ノックダウン時のSTC-1細胞内カルシウム濃度を蛍光プローブFura2 を用いて測定したところ、Car8発現抑制に伴い、長鎖脂肪酸刺激時細胞内カルシウム濃度上昇の有意な増強が確認された。
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