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2019 年度 実施状況報告書

尿酸とL-dopaの相互調節機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K08986
研究機関杏林大学

研究代表者

田中 弦  杏林大学, 医学部, 助教 (20615570)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード尿酸 / パーキンソン病 / トランスポーター / dopachrome
研究実績の概要

血清尿酸値が高いほどパーキンソン病の発症リスクが低くなることが複数の疫学調査で明らかとなっている。一方、パーキンソン病治療薬であるL-dopaは血清尿酸値を上昇させることが古くから報告されているが、その機序の詳細は明らかとなっていない。本研究ではL-dopaもしくはその代謝物が、尿酸トランスポーターの尿酸輸送を変化させると考え、そのトランスポーターを同定することを目指した。
これまでクローニング済みの尿酸トランスポーターに加え、本年度は始めに尿酸の排出を担うトランスポーターABCG2の遺伝子クローニングを行った。続いて、L-dopa代謝物の一つであるdopachromeの合成を行った。ここでは過ヨウ素酸ナトリウム (Kagedal et al., Anal. Biochem., 225, 264, 1995)を用いてL-dopaを酸化することで合成した。反応後、吸収スペクトルで475nmに極大が生じたことをもって合成を確認した。
合成したdopachromeがアフリカツメガエル卵母細胞にて発現させた各種尿酸トランスポーターの尿酸輸送を変化させるか放射性標識した尿酸を用いて検討した。URAT1, GLUT9を発現させた卵母細胞にdopachromeと共に尿酸を加えたが、尿酸の取り込み量はdopachromeの有無で変化が見られなかった。続いて卵母細胞内に予めdopachromeを注入することで尿酸の取り込みが促進されるか検討した。その結果、dopachromeを注入することでGLUT9による尿酸の取り込み量はおおよそ2倍に上昇した。このことは尿酸とdopachromeが交換輸送されている可能性を示している。今後他の尿酸トランスポーターでも同様に検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は研究計画調書に則し、遺伝子クローニングと、L-dopa代謝物の合成、またL-dopa代謝物に影響を受けるトランスポーターの探索を行っており、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

初年度は複数の尿酸トランスポーターに関してdopachromeが尿酸輸送に与える影響を検討したが、新たにクローニングしたトランスポーターに関しては未だ検討を行っていない。今後これらのトランスポーターも同様に検討を行う予定である。その他、今回L-dopa代謝物により2倍程度尿酸輸送量に変化が見られたが、より変化が生じる条件を見出し、速度論パラメーターを算出する。

次年度使用額が生じた理由

おおむね計画通りに研究は進展したが、全ての尿酸トランスポーターに関して実験ができていない。また放射性標識尿酸などの高価な消耗品に関してこれまでの研究で以前より使用していたものが残っていたこともあり新たな購入を見送ったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額はこれらの研究の推進に必要不可欠な消耗品および物品費等を購入するために使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 杏林大学:医学部:教員紹介:田中 弦

    • URL

      http://www.kyorin-u.ac.jp/univ/faculty/medicine/education/staff/detail/?id=med50009

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公開日: 2021-01-27  

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