近年メタボリック症候群や糖尿病などを基盤とする非アルコール性脂肪性肝炎(NAFLD/NASH)が増加しているが、NAFLD/NASHに対して予防法や治療法を開発することは喫緊の課題である。甲状腺機能低下症は肥満症や脂質異常症の原因とされるが、TRH (thyrotropin-releasing hormone) ノックアウトマウスは、軽度の甲状腺機能低下症と糖尿病、更にNAFLDを発症する。本研究では、TRHKOにおいてNAFLD/NASHを発症する機構を詳細に解析し、新たなバイオマーカーを発見し、所持するビッグデータを元に実際の医療に展開することを目的とした。 本年度は種々の条件下(食事条件、週齢)でのTRHノックアウトマウスの機能解析を実施した。若年や通常食では明らかとならなかったTRHノックアウトマウスの肝機能や脂質異常、肝臓組織への影響は、高齢の高脂肪食ノックアウトマウスではコントロールと比較し有意な変化が確認された。所有する検診受診者のビッグデータのヒトデータとも合致する結果であった。そのほか血液や肝臓組織、筋肉などへの影響なども現在解析中である。
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