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2020 年度 実施状況報告書

腸上皮組織におけるO-GlcNAc修飾の役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K08998
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

卯木 智  滋賀医科大学, 医学部, 講師 (20378483)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード糖鎖修飾 / 腸管 / SGLT1
研究実績の概要

【方法】腸管上皮細胞特異的Ogt遺伝子欠損マウス(Ogt-VKO)、タモキシフェン誘導性腸管上皮特異的Ogt遺伝子欠損マウス(Ogt-iVKO)を作製し、対照マウスと比較した。また腸内分泌細胞(STC-1細胞)において、O-GlcNAc修飾がブドウ糖輸送担体SGLT1発現に及ぼす影響を検討した。
【結果】Ogt-VKOは対照マウスと比較して、離乳直後から低体重 (22.3±0.3 vs 15.9±0.4 g, p<0.05)と随時血糖値の低下 (138.6±7.8 vs 91.8±3.9 mg/dL, p<0.05)を認めた。経口ブドウ糖負荷試験では、血糖の上昇は有意に抑制されたが、腹腔内ブドウ糖負荷試験では血糖変化は同等であった。一方、経口オリーブオイル負荷試験では中性脂肪の上昇は逆に亢進していた。以上から、ブドウ糖吸収が低下していることが低体重・低血糖の原因と考えた。そこで小腸のSGLT1の発現量を検討した。OGT-VKOは対照マウスと比較して、遺伝子発現は有意に低下していた(P<0.01)。
つぎに成長期の体重差の影響を除外するためにOgt-iVKOで検討した。タモキシフェン投与2週間後で体重が減少し(24.5±0.3 vs 21.6±0.3g, p<0.05)、随時血糖値も低下した(125.4±6.9 vs 86.8±7.0 mg/dL, p<0.05)。 経口ブドウ糖負荷試験では、血糖上昇は抑制され、蛍光免疫染色にてSGLT1の発現はほぼ消失していた。
次に、STC-1細胞において、O-GlcNAc修飾を上昇させるグルコサミン投与することでSGLT1の発現は上昇し、O-GlcNAc修飾を阻害するOSMI1投与にてSGLT1発現が低下した。
【結論】腸管上皮細胞において、O-GlcNAc修飾は、SGLT1発現を介して糖質の吸収に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

体重増加不良と血糖低下を来す原因が判明した。

今後の研究の推進方策

小腸におけるSGLT1発現に、O-GlcNAc修飾がどのように関与しているかを明らかにする。
SGLT1のプロモーターを介して遺伝子発現を制御しているのか、蛋白デグラデーションを増強するのか、または、その他の機序を介しているのかを検討する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 腸管上皮細胞のO-GlcNAc修飾は栄養吸収の調整に重要である2020

    • 著者名/発表者名
      西村公宏、藤田征弘、井田昌吾、柳町剛司、西田淳史、安藤 朗、森野勝太郎、卯木 智、前川 聡
    • 学会等名
      第63回日本糖尿病学会年次学術集会
  • [学会発表] 腸管でのΟ-GlcNAc修飾は吸収を介して糖代謝の恒常性に寄与している2020

    • 著者名/発表者名
      西村 公宏, 藤田 征弘, 井田 昌吾, 柳町 剛司, 森野 勝太郎, 卯木 智, 前川 聡, 安藤 朗, 西田 淳史
    • 学会等名
      第35回日本糖尿病合併症学会

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公開日: 2021-12-27  

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