研究課題/領域番号 |
19K08999
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷一 靖江 京都大学, 医学研究科, 助教 (50432331)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 制御性T細胞 |
研究実績の概要 |
前年度の研究で、IL-7受容体alpha鎖(IL-7 receptor alpha:IL-7Ra)を制御性T細胞(Treg)で特異的に欠損するマウス(IL-7R-Treg-KO)では、ある特定の分子Xを発現するTreg(X陽性Tregとする)が内臓脂肪で減少することが分かった。そこで、様々な組織においてX陽性Tregの細胞数を調べたところ、このTregは骨髄に非常に多く存在することが判明した。そこで、IL-7R-Treg-KOマウスの骨髄を調べたが、骨髄ではX陽性Tregの減少はみとめられなかった。この結果から、同じマーカー分子Xを発現しているTregでもIL-7Raへの依存性は組織によって異なることが示唆された。 IL-7Raは、IL-7の受容体として機能するだけではなく、サイトカインthymic stromal lymphopoietin(TSLP)の受容体(TSLP receptor:TSLPR)と二量体を形成することで、TSLPに対する受容体としても機能することが知られている。IL-7RaをTreg特異的に欠損させた時にみとめられる表現型がIL-7シグナルが障害された結果なのか、TSLPシグナルが障害された結果なのかを調べるため、我々の研究室で過去に樹立したTSLP欠損マウスを調べた。その結果、TSLP欠損マウスではX陽性Tregは内臓脂肪でも減少していないことが分かった。したがって、TSLPはX陽性Tregにとって必須のサイトカインではない可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Tregに発現するIL-7Ra鎖がIL-7とTSLPのいずれを主なリガンドとしているかを調べる実験は予定通り実施することができ、目的の結果を得ることができたが、コロナによる時差出勤などの影響で通常時よりも実験量が減ってしまったため。
|
今後の研究の推進方策 |
IL-7を産生する細胞として、胸腺上皮細胞、骨髄ストローマ細胞、リンパ管内皮細胞などが同定されている。しかし、脂肪組織においてIL-7を産生する細胞は同定されていない。そこで、我々の研究室で過去に作製したIL-7-GFPノックインマウスを用いて、脂肪組織でIL-7を産生する細胞を同定する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で一時期時差出勤を行った結果、通常時よりもやや実験ペースが落ちてしまったため。次年度の研究計画を実施した上で、論文執筆ペースを上げることで最終的に計画通りの実施が可能と考えられる。
|