全世界において動脈硬化による心血管疾患の罹患率と死亡率の増加が問題となっている。肥満や糖尿病では動脈硬化が発症進展するが、その機序には依然不明な点が多い。研究代表者らは動脈硬化症に関わる新たな候補因子を探索し、血管より分泌される分泌因子Favine(fat/vessel-derived secretory protein)を同定し、本因子に着目した研究を行っている。これまでFavineが脂肪細胞の分化促進作用および脂肪蓄積促進作用を有することを明らかとしてきたが、現在はFavineが脂肪細胞および血管に対して有する作用をさらに詳細に解明中である。具体的にはFavine欠損マウスと動脈硬化モデルマウス(アポリポプロテインE欠損マウス)を交配して得られたダブル欠損マウスに高コレステロール食を負荷し、動脈硬化病変のHE染色や免疫染色等の組織学的評価と遺伝子発現解析を実施した。血管におけるFavineの機能解析のため、血管構成細胞に対してFavine遺伝子の過剰発現または発現抑制実験を実施した。本研究の成果を通して、メタボリックシンドロームの新たな病態解明ならびに治療薬の開発につながる可能性がある。
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