研究課題
KPD患者の血液を採取し、インスリンペプチドに対してIFN-gammaを生産するT細胞が検出されるかどうかをELISPOT法により評価した。KPD群の33.3%がELISPOT法で陽性であり、1型糖尿病群の35.7%とほぼ同じレベルであった(典型的2型糖尿病群は2.9%)。 KPD患者においてELISPOT陽性群、陰性群について比較検討したところ、陰性群に比して、陽性群ではCペプチド値が有意差をもって低値であった。したがって、ELISPOT陽性のKPD患者においては、インスリン分泌能は、陰性群に比べてより低い可能性が示唆された。 これらの成果は、2021年のThe Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 誌(Satomura A et al, 107 e2124~e2132)に掲載された。さらに、膵外分泌酵素についても、KPDでは23.8%が高値であり、1型糖尿病における23.2%とほぼ同レベルであった(通常の2型糖尿病では5.9%)。一方、KPDのHLA型については、日本人1型糖尿病の疾患感受性であるDRB1*04:05、DRB1*09:01のアリル頻度は健常人と差がなかった一方で、DRB1*08:03が有意に多いことを見出した(KPD 16.7% vs. 健常人 8.3%、p<0.05)。HLA DRB1*08:03との関連が報告されている他の自己免疫疾患は、外分泌組織(あるいは導管)に炎症をきたす疾患であり、KPDにおいても、類似の自己免疫応答が存在する可能性が示唆された。そこで、DRB1*08:03の有無による膵外分泌酵素異常の割合を比較したところ、プレリミナリーな結果であるが、DRB1*08:03を有する場合は、62.5%が異常値を示したが、有さない場合は6.3%のみであった。
3: やや遅れている
上述のように、膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼのいずれか)について、KPDでは23.8%が高値であり、1型糖尿病における23.2%とほぼ同レベルであることを確認した(通常の2型糖尿病では5.9%)。一方、KPDのHLA型については、日本人1型糖尿病の疾患感受性であるDRB1*04:05、DRB1*09:01のアリル頻度は健常人と差がなかった一方で、DRB1*08:03が有意に多いことを見出した(KPD 16.7% vs. 健常人 8.3%、p<0.05)。これまでに、DRB1*08:03の有無による膵外分泌酵素異常の割合を比較したところ、プレリミナリーな結果であるが、DRB1*08:03を有する場合は、62.5%が異常値を示したが、有さない場合は6.3%のみであることを確認した。これらの結果の再現性を確認するため、検討すべき症例数を増やす必要が生じた。このため、やや進行が遅れていると判断した。
細胞性免疫能、特に抗原特異的T細胞反応性の評価について、これを専任で行う常勤の実験補助者もいるが、これまでに行なってきたインスリンペプチドを用いた検討のみならず、GADなど他の膵島関連抗原、さらには、膵外分泌抗原を用いた検討も行う計画である。また、糖尿病患者のデータべース、血液などの検体管理システムもすでに確立しており、別の研究補助者が常時管理しているが、研究補助者の増員などによる効率化を行い、さらに件数を増やせる体制を構築していく予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
Diabetology International
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The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism
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https://saitama-endodiab.jp/research1