研究課題/領域番号 |
19K09011
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
佐藤 雅 北里大学, 医学部, 講師 (40611843)
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研究分担者 |
岩渕 和也 北里大学, 医学部, 教授 (20184898)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | NKT細胞 / 肥満 / マクロファージ / 組織炎症 |
研究実績の概要 |
肥満の進展におけるNKT細胞の活性化機構を調べるために、抗原提示細胞としてマクロファージと樹状細胞に着目した。NKT細胞はCD1dに提示された脂質抗原を認識して活性化するT細胞亜群である。マクロファージ特異的にCD1dを欠損したLysM-cre-cd1d1f/fマウスと樹状細胞特異的にCD1dを欠損したCD11c-cre-cd1d1f/fマウスを用いて、肥満進展におけるNKT細胞とマクロファージ/樹状細胞との相互作用の役割を調べた。高脂肪食給餌によるLysM-cre-cd1d1f/fマウスのインスリン抵抗性はコントロールマウスに比べて増悪し、一方、CD11c-cre-cd1d1f/fマウスではコントロールマウスに比べてインスリン抵抗性が軽減した。NKT細胞のIFN-g産生は、脂肪組織のマクロファージよりも樹状細胞と共培養したときのほうが高いことがわかった。このことから、NKT細胞とマクロファージの相互作用は肥満進展に対して促進的に、反対にNKT細胞と樹状細胞の相互作用は抑制的に働くことが明らかとなった。また、LysM-cre-cd1d1f/fマウスの脂肪組織マクロファージは、パルミチン酸刺激によるIL-12p40の発現量がコントロールマウスのものよりも高いことが判明し、これがLysM-cre-cd1d1f/fマウスのTh1免疫が亢進している原因の一つであると考えられた。以上から、NKT細胞は抗原提示細胞によってその機能が異なり、肥満進展に対して重要な役割を果たしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症対策のため、リモートワークが増加したことによる計画の遅れが生じた。そのため研究期間を延長している。
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今後の研究の推進方策 |
LysM-cre-cd1d1f/fマウスのCD1dが減弱しているマクロファージは、野生型のマクロファージと機能が異なる可能性が示唆されたため、それぞれのマクロファージを単離し、RNA-Seq解析により遺伝子発現を網羅的に解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響のため、若干の研究計画の遅れが生じたため。次年度では、マクロファージの網羅的遺伝子解析の費用や、実験動物の飼育費に充てられる。
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