研究課題/領域番号 |
19K09013
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
宇田川 陽秀 杏林大学, 医学部, 助教 (50533882)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Gata5 / 内臓脂肪組織 / 高度肥満 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
これまでに、内臓脂肪では酸化ストレス刺激に対する防御機構の破綻が多くの疾患発症に関わること、Gata5-nullマウスにおいては酸化ストレスが増加していること、が報告されていた。そこで我々は、皮下脂肪に比して内臓脂肪で発現が高い転写因子Gata5は、抗酸化分子の発現を誘導し、酸化ストレスに対する防御機構を調節しているのではないか、という仮説を立てた。本研究では、Gata5欠損マウスの表現型解析から、内臓脂肪に特徴的な酸化ストレス調節因子としてGata5の機能的意義を検証し、肥満・糖尿病発症のメカニズムの解明、治療法の開発をおこなった。 Gata5遺伝子欠損(KO)マウスは、CRISPR/Cas9システムを用いてエクソン2が欠損するように作成した。作出したマウスのタイピングから、全身性にGata5を欠損したKOマウスを得た。通常食マウスを飼育し、Gata5の発現と表現型を分析した。Gata5KOマウスは既報の通り、正常に産まれた。野生型マウスとGata5KOマウスの内臓脂肪組織からRNAを抽出し、Gata5のmRNA発現量を測定した結果、野生型マウスに比較してGata5KOマウスのGata5 mRNA量は検出限界以下であった。12週齢までの体重増加率はWTとKOマウス間に顕著な差は認められなかった。経口ブドウ糖負荷試験、インスリン負荷試験の結果、耐糖能やインスリン感受性に差は認められなかった。Gata5KOマウスの内臓脂肪から間質血管画分を分画し、フローサイトメーターを用いて、脂肪前駆細胞数を測定した。その結果、野生型とGata5KOマウスの内臓脂肪において脂肪前駆細胞数に有意な差は認められなかった。現在、野生型マウスとGata5KOマウスに高脂肪食を負荷し、体重や耐糖能への影響について検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は脂肪細胞特異的なGata5KOマウスを作出する予定であったが、Gata5の発現が脂肪細胞だけでなく、他の細胞にも発現していたことから、まずは全身性でGata5をKOしてその影響を検討することにした。そのため、マウスの作成と拡張に時間を要した。現在高脂肪食を負荷したGata5KOマウスの表現型の解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、野生型とGata5KOマウスのRNA-seqから、脂肪細胞やその他細胞におけるGata5の機能的意義を明らかにする。また野生型とGata5KOマウスに高脂肪食を負荷し、体重、耐糖能やインスリン感受性に及ぼす影響について検討をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子改変マウスの作出が遅れ、KOマウスの高脂肪食負荷や表現系解析が出来なかったため、その費用が次年度に繰り越された為。
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