抗がん剤起因性心不全は、がん患者のQOLや生命予後に直接影響を与えるため臨床的社会的な問題であるが、そのメカニズムは不明な点も多い。本研究において、①抗がん剤投与によって、心筋細胞DNA損傷と心室BNP遺伝子の発現抑制が認められた、②BNP遺伝子発現抑制に、プロモーター領域のDNAメチル化亢進が関与していた、③心筋細胞特異的DNAメチル化酵素欠損マウスでは、抗がん剤によるBNP遺伝子抑制が認められなかった。抗がん剤の心筋障害時に、これまで知られていなかったDNAメチル化修飾によるBNP遺伝子発現制御系が機能していることが明らかとなった。
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