研究課題/領域番号 |
19K09015
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金子 慶三 東北大学, 大学病院, 助教 (60546141)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肥満 / 糖尿病 / 糖新生 / 臓器間ネットワーク |
研究実績の概要 |
(背景と研究目的)グルコースを血中に放出する肝糖産生の主な要素に糖新生があるが、これは筋肉や脂肪組織から肝臓へ流入したアミノ酸やグリセロール(糖新生基質)を肝臓でグルコースへ変換する経路である。ゆえに、肝などでの糖新生制御は生命活動に必須であると考えられるが、糖新生という営みそのものが全身の代謝へ与える影響やそのメカニズムについてはいまだ不明な点が多い。 研究代表者はこれまで全身代謝と①糖新生、②肝臓を起点とした臓器間神経ネットワーク機構などに携わってきた。これらをもとに、「肝糖新生が、グルコース需要の変化にいかに対応するかを、臓器間ネットワークの視点から解明すること」を目指す。 (今年度の研究成果具体的内容)ウイルスベクターを用い、糖新生の律速酵素の一つをマウスの肝臓で過剰発現させた(介入マウス)。介入マウスでは脂肪組織が縮小するという結果が得られた。このことは、肝の糖新生酵素が臓器間ネットワークを介して末梢の代謝を制御していることを示唆する。 (意義・重要性) 肥満形成に伴い糖新生酵素発現が亢進することは知られている。ゆえに、今回の結果は肥満の形成時に肝糖新生酵素が上昇することが脂肪分解を促すこと示唆する。以上より肝糖新生の営みが肥満形成に対して抑止的に作用しているという新たな臓器間ネットワークの存在が考えられる。本研究は肥満糖尿病の進展メカニズムに迫り、治療にもつながりうるという点で意義深いと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
糖新生酵素は複数あり、残りの糖新生酵素における介入検討や糖新生酵素のノックダウン・ノックアウトのデータの蓄積が不十分である。また、肥満等の病態モデルにおける介入もまだこれから進めていく段階である。以上より、(病態)生理的なメカニズムへのアプローチに関しては遅れていると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、上記進捗状況に記載した内容を進めていく。加えて、肝臓からの脳への神経路遮断などの介入により、肝‐末梢組織連関による臓器間ネットーワークの関与につき検討する。
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