研究課題
本年度は、研究全体の準備期間と捉え、研究期間全体に必要な資材や情報を蓄積することに努め、具体的に以下のような成果を得た。(1)酵母2HYBスクリーニングでPPM1Lと会合すると考えられる部位(ヒトSREBP1cの341-535aa)には、AMPKによるリン酸化部位(Ser372)が含まれている。さらにGSK3 beta依存性のThr426およびSer430のリン酸化依存性にE3リガーゼFbw7と会合しは会合し、不安定化される。これらのリン酸化部位をPPM1Lがin vitroで脱リン酸化できるか検証するために必要な実験系の構築を試みた。現在までのところ、リン酸化部位を含むSREBPの野生型およびリン酸化不能型型ドメインの大腸菌による発現に成功した。一方、プロテインキナーゼに関しては、大腸菌では完全長のタンパクが発現せず、現在哺乳動物、昆虫細胞による発現を試みている。(2) PPM1Lの細胞における機能を明らかにする一端としていくつかの培養細胞株において、CRISPR/Cas9法を用いてノックアウト細胞を作製した。このうち、HEK293細胞のKO細胞は細胞培養ディッシュへの接着性が変化していることが判明した。(3) KOマウスの16日胚大脳皮質より得たmRNAを用いて、DNA array解析を行った。得られた発現データをQIAGEN社のIngenuity Pathway Analysis(IPA)解析ソフトで解析したところ、「細胞間接着」「細胞運動」などとの関連が示唆された
2: おおむね順調に進展している
In vitroリン酸化系におけるプロテインキナーゼの発現が進行中であるが、概ね計画通りに進んでいる。
(1)現在構築中のインビトロタンパク質リン酸化系の構築を進める。リン酸化の検出の特異的な抗体の他、phostagアクリルアミドを用いたSDS-PAGEでの移動度の変化を指標とする。(2)ノックアウト細胞における細胞接着性の変化に関して、細胞外マトリクスへの接着に関わる中心的な因子であるインテグリンなどの動向を調べ、SREBPとの関連性について検討する。
一部実験が完遂せず、進行中であるため。
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Mol. Med. Rep.
巻: 19 ページ: 5353-5360
10.3892/mmr.2019.10194