研究課題/領域番号 |
19K09016
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 孝安 東北大学, 動物・遺伝子実験支援センター, 准教授 (10221970)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | protein phosphatase / PPM1L |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度の成果を元に実験を行い以下のような成果を得た。 (1)酵母2HYBスクリーニングでPPM1Lと会合すると考えられる部位(ヒトSREBP1cの341-535 残基)には、AMPKによるリン酸化され活性抑制に関与するSer残基(Ser372)と、GSK3 beta依存性にリン酸化され、E3リガーゼFbw7依存性タンパク質分解に関与するThrおよびSer残基(Thr402およびSer406)が含まれている。あらかじめdual-specificity tyrosine phosphorylated and regulated protein kinase2 (DYRK2)でリン酸化させた後、GSK3betaによる反応を行うことにより最大限にリン酸化レベルを亢進させたSREBP1タンパク質を、昆虫細胞で発現させたマウスPPM1Lで処理したところ、脱リン酸化が観察された。一方、活性を持たない変異体(D302A)では脱リン酸化が観察されなかった。 (2) PPM1Lの細胞における機能を明らかにする一端として、いくつかの培養細胞株においてCRISPR/Cas9法を用いてノックアウト(KO)細胞を作製し、これまでHEK293細胞のKO細胞の細胞培養ディッシュへの接着性が野生株と比較し亢進していることを見出していたが、WB法にて細胞と細胞外マトリックスの結合に関わる接着因子であるインテグリンの発現を調べたところ、KO細胞において複数のインテグリン分子の発現が亢進していることが明らかとなった。この発現上昇はKO細胞にPPM1Lを発現させると消失した。このことよりPPM1Lがインテグリンの発現の調節に関わっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 細胞内におけるSREB1とPPM1Lとの相互作用、PPM1Lによる脱リン酸化を検討するためにPPM1Lの野生型や基質トラッピング変異体を発現する安定発現株を作製して解析を試みる。 (2)ノックアウト細胞における細胞接着性の変化に関して、インテグリンの発現制御に関するPPM1Lの関与を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:一部実験が完遂せず、進行中であるため。 使用計画: PPM1Lの野生型や基質トラッピング変異体を発現する安定発現株の作製およびインテグリンをはじめとする細胞接着因子の発現制御に関するPPM1Lの関与の検討に使用する予定である。
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