脂肪の分解・吸収・蓄積に関わる消化管ホルモンGIPとCCKの分泌を抑制する栄養素として中鎖脂肪トリグリセリド(MCT)を同定した。MCTは長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)摂取時のGIPとCCK濃度を抑制し、食欲抑制作用を有するGLP-1分泌を抑制しなかった。この機序は、中鎖脂肪酸が長鎖脂肪酸誘導性のGPR120を抑制することであった。MCTの摂取は高LCT食負荷肥満マウスの体重を抑制し、インスリン感受性を高めた。GIP欠損マウスの検討では、この作用は認めなかった。よってMCTはGPR120シグナル阻害を介してGIP分泌を抑制し、高脂肪肥満下の肥満・インスリン抵抗性を改善すると考えられた。
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