研究課題
A)血漿XORの生理病態学的意義と臓器連関糖尿病教育入院症例28名を対象とした横断解析において、血中XOR活性と肝酵素が強く相関すること、また2週間の血糖コントロール入院において、特に血中XOR活性高値の例で有意に低下すること、その変化が肝酵素と強く連関することを見出した。以上のデータをJ.Diabetes Investg.誌に投稿しreviseを経て受理された。(in press)本年度は高度肥満症例症例12名で検討を進め、血中XOR活性の変化は(BMIの変化より)肝酵素の変化と強く連関していた。さらに、基礎研究の推進を進め、マウス脂肪肝・脂肪肝炎モデル(NASHマウス)を作製し、脂肪肝によって血中XOR活性が著明に亢進することを見出した。上昇したXOR活性は酸化ストレスを産生するXO活性の上昇がほとんどを占めていた。また高XOR血症を有する症例およびNASHマウスの血漿を用いたin vitroの系で、ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸の反応が促進することを示し、このことは肝から血中に出てきたXORが酵素活性を有していることを示唆した。B)脂肪細胞SLC5A7の生理病態学的意義と脂肪組織コリン代謝の解明脂肪組織特異的SLC5A7 KOマウスについては作製まで終了し、脂肪組織特異的にKOできていることを確認した。ただ、本学動物実験施設改装に伴い、実験規模の縮小を余儀なくされており、KOマウスを用いた動物実験については一時休止し、A)の検討を優先して進めている。
2: おおむね順調に進展している
A)XOR研究における臨床研究については、症例の登録、解析とも予定通り進捗し、1編論文公表に至った。下述する研究内容を含め、次年度中に臨床・基礎論文をさらに1編投稿する予定である。B)SLC5A7研究の方については、昨年度は当大学の実験施設の状況もあり、予定通り進めれていない現状はあるが、次年度以降進めるべく、脂肪組織特異的SLC5A7 KOマウスについても作製は終了でき、KOできていることも確認している。
A)次年度は、基礎研究中心に進める。ヒトおよびマウスでの検討からNAFLD/NASH病態で血中XOR活性が上昇し、血中でXO型の酵素活性を有していることを見出した。NAFLD/NASH病態と動脈硬化症との連関を探索すべく、マウスおよび細胞自験を推進する。具体的には、NASHマウスの頸動脈擦過モデルを作製し、それに対するXOR阻害薬の効果について、また細胞実験では、XORとXOR阻害薬の作用を、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞を用い、検討を進める。それら基礎研究に、高度肥満症に対する肥満外科手術後のデータを加え、論文を完成させる。B)A)の検討が、当初予定の脂肪―肝連関の解明を超え順調に進んでおり動脈硬化への連関まで検討を進める予定で、B)の検討を当施設の動物実験施設の改修工事に伴い規模を相対的に縮小して進める予定である。細胞実験やin vitroの実験を中心に進めていく。
現在本学医学部動物実験施設は老朽化に伴う改装工事のため、動物実験の規模が全学的に縮小しており、本研究課題に関わる動物実験については規模を縮小している。そのためもあり、動物実験に係る研究費に余裕が出てきており、繰越金が発生した。次年度は、A)の検討を中心に、マウスに加え、細胞実験もやりうる検討課題が山積しており、翌年度分の助成金に繰越金を加えて予定通り実験を遂行する。
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J Diabetes Investig.
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10.1111/jdi.13467.