研究課題
2型糖尿病発症前既往最高BMI(MBBO)による膵β細胞機能(増殖、再生、分化など)の違いを明らかにし、発症前既往最高BMを、2型糖尿病患者の膵β細胞機能の推移、予後を予測する新たな指標として確立することが本研究の目的である。これまでインスリン分泌能推移の予測にMBBOが有効であり、糖尿病発症後のインスリン分泌能の低下にその後のBMIの寄与を示し、J Endocr Soc. 2020 Mar 13;4(4)に報告した。さらに膵β細胞系培養細胞MIN-6細胞にインスリンを負荷する実験系を作成、細胞外高濃度インスリンが膵β細胞の細胞外グルコース濃度センサーであるGLUT2、GLP1R発現の低下と、インスリン分泌障害に関与する可能性があることを見出し、第64回日本糖尿病学会学術集会にて報告を行うとともにBiochem Biophys Res Commun. 2021 Jan 1;534:702-706に論文報告を行った。さらに糖尿病網膜症および糖尿病性腎症の進行に、受診時のBMIは関与しないが、MBBOが有意に関与することを明らかにし、BMJ Open Diabetes Res Care. 2021 Dec;9(2):e002466に報告した。また膵組織におけるMBBOの影響について、MBBOで群分けした糖尿病患者膵の組織学的検討を行い、MBBO高値が膵β細胞の増加傾向および膵α細胞の優位な増加に関連することを明らかにし、第63回日本糖尿病学会学術集会にて学会報告を行うとともに、昨年度にJ Diabetes. 2023 Mar;15(3):277-282に論文報告を行った。以上、MBBOに着目した臨床検査データならびに膵組織学的な解析により、2型糖尿病患者におけるβ細胞機能、糖尿病細小血管合併症、α細胞形態所見に新たな知見を加えることとなった。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
J Diabetes
巻: 15 ページ: 277-282
10.1111/1753-0407.13370