研究課題/領域番号 |
19K09026
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
艾尼 吾甫尓江 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (70750488)
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研究分担者 |
高橋 晴美 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (50546489)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | インスリン分泌 / インクレチン / グルタミン酸 |
研究実績の概要 |
食後に腸管から分泌されるインクレチン(GLP-1, GIP)はcAMPシグナルを介してグルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進する。代表者らはこれまでに膵β細胞内のグルコース代謝とcAMP作用の相互作用において、グルコース代謝で産生されたグルタミン酸が必須の役割を担っていることを明らかにしたが、グルタミン酸が顆粒の開口分泌を制御する機序は不明である。本研究ではインスリン顆粒の比較プロテオミクスにより得られたcAMP/グルタミン酸シグナルによる開口分泌に関与しうる候補分子の機能解析によりグルタミン酸による開口分泌制御機構を明らかにすることを目的とする。本年度は以下の研究を行った。 インスリン顆粒へのグルタミン酸取り込みによるV-ATPaseおよびVAMPの制御機構を明らかにするために、VAMP2、VAMP8およびV-ATPaseの各サブユニットに蛍光タンパク質を融合したプローブを作製した。これらをMIN6-K8細胞に導入して細胞内局在等を観察した。VAMP2およびVAMP8は顆粒状の発現が認められ、導入したタンパク質がインスリン顆粒に局在していることが示唆された。一方、V-ATPaseの各サブユニットは発現が弱くはっきりとした局在が観察されなかったため、プローブの改良が必要と考えられた。 また、グルタミンによるインスリン分泌について詳細に検討する過程で、β細胞内でグルタミンから産生されたグルタミン酸が細胞内カルシウムイオン濃度の上昇を介してインスリン分泌を増強するということを見いだした。この結果は、グルタミン酸によるインスリン開口分泌制御機構の解明において重要な示唆を与える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プローブ作製に時間がかかり、次の段階に進めることができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
1)インクレチン/cAMP/グルタミン酸シグナルで変動する顆粒タンパク質のインスリン分泌における機能の解明:前年度に引き続き、VAMP7をはじめとするVAMPsおよびV-ATPaseのインスリン分泌における機能を解析する。 2)インスリン顆粒へのグルタミン酸取り込みによるV-ATPaseおよびVAMP2の制御機構の解明:前年度に引き続き、作製した各種蛍光プローブを膵β細胞に発現させ、V-ATPaseとVAMPsの相互作用を解析し、インクレチン/cAMP/グルタミン酸によるインスリン分泌における役割を明らかにする。 さらに、グルタミン酸による細胞内カルシウム動態制御を詳細に解析し、グルタミン酸によるインスリン開口分泌機構を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に遅れが生じ、当初予定していた段階まで進められなかったため、残額が生じた。次年度は残額と併せて当初の予定通りの実験を行う。
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