研究課題/領域番号 |
19K09028
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
永山 雄二 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (30274632)
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研究分担者 |
蔵重 智美 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (60568955)
嶋村 美加 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (90736406)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 甲状腺がん / マウスモデル / 遺伝子改変 |
研究実績の概要 |
[I] 逆作動薬(inverse agonist)を用いた新規治療法:米国のGershengornらから低分子化合物の逆作動薬も入手した.培養甲状腺細胞であるラットPCCL3細胞を用いた基礎検討では容量依存性にTSHの作用を抑制しただけでなく,TSH非添加細胞のcAMP基礎値も低下させ,逆作動薬作用を確認できた.甲状腺特異的に(サイログロブリンプロモーターを用いている)Cre DNA recombinaseを発現するアデノウイルスAd-TgP-Creを甲状腺に注入したBraf^CAマウスは1年が経過して甲状腺腫瘍を形成した.これで昨年度入手して精製が終了した逆作動抗体と本年度入手した低分子化合物逆作動薬の効果検討の準備が完了し,投与を開始するところである.投与後一定期間ごとに超音波検査で腫瘍サイズを計測していく予定である. [II] キナーゼ阻害剤の作用機序の解析:これもAd-TgP-Cre注入Braf^CAマウスの甲状腺に腫瘍が形成され,キナーゼ阻害剤投与の準備が完了したので,投与を開始するところである. [III] オートファジーの研究:①正常甲状腺でのオートファジーの生理的機能解析が昨年度終了し,オートファジーKOにより甲状腺細胞での蛋白蓄積・活性酸素上昇・アポトーシス誘導を引き起こしたことより,基礎レベルでのオートファジー活性が甲状腺細胞の生存・ホメオスターシス維持に重要であることを見出したので,②オートファジー欠失による自然がん化の研究を開始した.オートファジーに関与する分子の1つであるATG5の遺伝子にloxP配列を挿入したAtg5^flox/floxマウス甲状腺へのAd-TgP-Cre注入が終了し,12・18か月後に腫瘍形成を観察する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染蔓延により密を避ける研究体制となり,進捗が遅れた.
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今後の研究の推進方策 |
[I] 逆作動薬(inverse agonist)を用いた新規治療法:担癌マウスに逆作動抗体・低分子化合物を投与し,この研究を完成させる予定である. [II] キナーゼ阻害剤の作用機序の解析:これも担癌マウスにキナーゼ阻害剤を一定期間投与し,腫瘍サイズ・組織像を比較検討する予定である. [III] オートファジーの研究:Ad-TgP-Cre注入Atg5^flox/floxマウスの12か月での甲状腺組織を観察する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナで研究進捗がやや遅れたことにより495,904円が次年度に回った。次年度分と合わせて、物品費に用いる予定である。
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