現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由: iPS細胞から、甲状腺、副甲状腺細胞の分化誘導の確立をしている。iPS細胞 409B2を用いて、これまでに甲状腺濾胞細胞 (thyroid follicular cell,TFC)と副甲状腺上皮細胞 (parathyroid epithelial cell, PTEC)の共通の前駆細胞である、前腸内胚葉細胞の分化誘導法の確立を行ってきた。 STEP1. 内胚葉細胞の分化誘導内胚葉細胞の分化誘導は2段階誘導法を用いた。まず、iPS細胞から内胚葉細胞への発生運命が決まっている前方原条(anterior primitive streak, APS)を分化誘導するためのシグナル分子と低分子化合物を投与し24時間培養した。さらに、APSを内胚葉(definitive endoderm, DE)に分化誘導するためのシグナル分子と低分子化合物を投与し24時間培養した。免疫組織化学法によって分化状態を解析したところ、約90%の効率でiPS細胞からDE (FOXA2/SOX17二重陽性)を分化誘導できるようになった。 STEP2. 前腸内胚葉細胞の分化誘導 内胚葉形成後において頭尾軸に沿ったパターン形成が行われ、内胚葉細胞から前腸内胚葉細胞、中腸内胚葉細胞、後腸内胚葉細胞が分化誘導される。それぞれの細胞では領域特異的なマーカー遺伝子群(OTX2, PDX1, HOXD13)の発現が誘導される。TFCとPTECの共通前駆細胞である前腸内胚葉細胞を誘導するためのシグナル 分子または低分子化合物を投与し、RT-PCR法のよって各領域特異的マーカーの発現を確認したところ、前腸内胚葉マーカーであるOTX2の発現上昇が確認できた。一方、中腸内胚葉マーカーであるPDX1, 後腸内胚葉マーカーであるHOXD13の発現は確認できなかった。以上の結果は、iPS細胞から前腸内胚葉の分化誘導が可能になったことを示している。 STEP3は、ほぼ終了しているが、最終確認が未施行である。遺伝子の修復方法の簡略化に成功したため、報告した。
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