研究実績の概要 |
モデル細胞樹立のため既に下記の段階の細胞は樹立済みである。第1段階:iPS細胞の樹立と最適化。すでに iPS細胞を樹立する手法は確立ずみであり、正常者、および遺伝性疾患保因者からのiPS細胞を樹立することは可能である。第2段階: 甲状腺、副甲状腺上皮細胞への分化誘導法の最適化 甲状腺濾胞細胞と副甲状腺上皮細胞を多能性幹細胞(iPS細胞)から分化誘導するためには、少なくとも5段階 (STEP1. 内胚葉細胞への分化誘導、STEP2. 前腸内胚葉細胞への分化誘導、STEP3. 甲状腺前駆細胞または第3咽頭嚢細胞への分化誘導、STEP4. 甲状腺濾胞前駆細胞または副甲状腺前駆細胞への分化誘導、STEP5. 甲状腺濾胞細胞または副甲状腺上皮細胞への分化誘導)を経る必要がある。各段階に関わるシグナル伝達経路を逐次的に活性化することで、最終的に成熟した甲状腺濾胞細胞(サイログロブリン合成)および副甲状腺上皮細胞(PTH前駆体合成)の作成を目指す。2020年度は、甲状腺濾胞細胞と副甲状腺上皮細胞に共通する前駆細胞である、前腸内胚葉細胞の分化誘導法の最適化までを実施した。2021年度はSTEP3まで実施した。2022年度はSTEP3の咽頭嚢内胚葉から副甲状腺前駆細胞および甲状腺C細胞前駆細胞の分化誘導法の開発を行った。これまでに第3咽頭嚢内胚葉由来の胸腺上皮前駆細胞の分化誘導法が報告されている。その手法で使用されているFGF, BMP, WNT, SHHのシグナリング誘導リガンドまたは特異的阻害剤を第4咽頭嚢内胚葉に対して様々な組み合わせで投与したところ、副甲状腺前駆細胞または甲状腺C細胞前駆細胞のマーカー遺伝子群の発現を誘導できる組み合わせを同定した。
|