研究課題/領域番号 |
19K09033
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
原口 省吾 昭和大学, 医学部, 助教 (20592132)
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研究分担者 |
スルチョードリ ビシュワジット 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (00535453)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エストラジオール / テストステロン / hsd17b3 / 亜鉛 / 脱毛 / 皮膚 / 加齢 / 老化 |
研究実績の概要 |
加齢に伴う精巣機能の低下により、男性では血中アンドロゲンが減少し男性更年期障害と言われる加齢性腺機能低下症(LOH症候群)が発症する。そこでアンドロゲン補充療法が行われるが、その効果には不明瞭な点が多い。これは、LOH症候群で見られる種々の症状が単純にアンドロゲンの低下だけでは説明できないことに起因すると考えられている。そこで、研究代表者は高齢時の皮膚内分泌環境について解析を行い、高齢マウスの皮膚にはテストステロンが高濃度に存在することを見出し、それが加齢に伴う局所的なホルモン合成調節機構の破綻によることを明らかにした。この様な背景と経緯から、本研究では①加齢に伴い皮膚のホルモン合成調節機構がどの様な分子機序で破綻するのか明らかにするとともに、②皮膚に高濃度で存在するテストステロンがどの様な皮膚疾患に関与するのかを明らかにすることを目的とした。 当初の研究計画に沿って解析を進め、加齢に伴う皮膚におけるテストステロンの過剰産生・蓄積の機序を明らかにした。加齢に伴う皮膚テストステロンの過剰産生・蓄積は、皮膚におけるエストラジオール欠乏に起因して皮脂腺Hsd17b3発現が増加すること、加齢に伴う皮膚の性ステロイド代謝酵素の発現低下の複合的な要因によるものであることが分かった。 また、高齢時の皮膚に存在する高濃度テストステロンが関与する疾患について解析を行った。当初は、アンドロゲン受容体を介して作用するのではないかと考えていたが、研究代表者らの解析から、高濃度テストステロンが亜鉛トランスポーターを介して皮膚機能に影響を及ぼすことが分かった。このテストステロンが作用する特定の亜鉛トランスポーターは毛包細胞に発現しており、加齢に伴う皮膚テストステロンの増加はびまん性の脱毛に関与することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
①加齢に伴い皮膚のホルモン合成調節機構がどの様な分子機序で破綻するのか、②皮膚に高濃度で存在するテストステロンがどの様な皮膚疾患に関与するのか、について当初の予定より大幅な研究の進展が見られた。そこで、これらの研究成果をすでに原著論文としてまとめ投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
マウスで得られた研究成果と同様の機序がヒトにも存在するのか、高齢者頭皮組織を用いた形態学的な解析を行うと共に、ヒト皮膚培養細胞を用いたin vitroの解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の大幅な進展により50万円の前倒し支払請求を行った。しかし、2年度目は投稿中の論文の修正実験や掲載費などで大きな支出が見込まれるため、少しでも次年度に繰り越すことを考え、残すこととした。
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