研究課題/領域番号 |
19K09034
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
飯利 太朗 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (90313022)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | GPCR / Gタンパク質 / バイアスアゴニズム / ニトロシル化 / 疾患解析制御 |
研究実績の概要 |
GPCR病/Gタンパク質病の分子機構を解明し、そこから得られた知見に基づき新規治療法の開発をめざして研究を継続している。 1)GPCRのバイアスアゴニズムのメカニズム解析と制御:細胞は特異的シグナルの作動を求めると合目的的には考えられている。一方で、多くのGPCRはしばしば複数のGタンパク質を活性化することが知られている。この整合性を解決する概念として、近年、複数のシグナルを作動させるGPCRを介してある特異的なシグナル系を作動させる機構であるバイアスアゴニズムが注目されている。 本研究では、(1)まれな内分泌疾患においてCa感知受容体をバイアスアロステリックに制御する自己抗体を発見し、複数の患者解析を行い、新規治療法へ結び付けている。(2)疾患で発見されたV2受容体変異を発見・解析し、バイアスアゴニズムの特殊例として作用する相手によってその作用を変えるメカニズムに基づいて新たな治療法を提唱した。(3)GPCR脱感作とアレスチンシグナルに関与するPCRキナーゼのニトロシル化による制御を担う小分子化合物の開発を継続し、構造活性相関を検討している。さらに同類似化合物が脂肪融解に関与することを明らかにしマウスでのin vivo検討を行った。 2)GPCR病/Gタンパク質病の解析を基盤としたGPCR/Gタンパク質の作用機構の解明:GPCR/Gタンパク質の作用機構に関する蓄積された知見と構造解析を基盤とした分子動態解析を統合した検討を開始している。疾患メカニズム解明の基盤となる分子動態解析基盤を構築中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)GPCR自己抗体および変異を原因とする疾患解析を継続し治療法開発へと結びつけている。 (2)GPCR脱感作に関与するGRKを制御する小分子化合物を解析し、脂肪融解に対する効果をin vitroおよびin vivoで検討継続中である。 (3)GPCR病/Gタンパク質病の蓄積された知見を基盤に構造解析を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)GPCR病/Gタンパク質病の発見とメカニズム解析を継続し、GPCR/Gタンパク質の作用メカニズム解明と新たな制御をめざす。 (2)GRK活性をニトロシル化により制御する小分子化合物群の構造活性相関の検討を継続するとともに脂肪融解への関与の意義を解析する。 (3)GPCR病/Gタンパク質病の蓄積された知見と構造解析を統合した検討を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の実験経費の一部(シムレーション環境設備など)がすでに蓄積されていた物品でまかなえたためであり、次年度に使用する予定である。
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