研究課題/領域番号 |
19K09041
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
工藤 篤 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (20376734)
|
研究分担者 |
田中 真二 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30253420)
田邉 稔 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50197513)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | イメージングバイオマーカー / 網羅的遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
膵神経内分泌腫瘍は我が国の10万人に2.7人が発症するとされているが近年増加傾向にあり、剖検では日本人の1.6-10%に発症している可能性が示唆される.米国ではNETは大腸癌の次に多いと報告された.本腫瘍は50歳代に発症し、半数以上が進行病期で遠隔転移の5年生存率は39%である.我々は2016年に肉眼型分類を世界で初めて創設し、網羅的遺伝子解析で肝転移の指標としてPAX6を同定した.本研究はこれらについて全国集計でvalidationを行うと共に、新しい画像診断学的指標を開発し、分子生物学的特徴を調べることを目的とした。我々は2016年に病理学的、画像診断学的な肉眼型分類を世界で初めて創設し、非単純結節型の予後が極めて不良であることを示し、新しい画像診断学的指標を開発する。最終的にはRadio-patho-genomicな視点から予後予測と治療に役立つ指標(Thera-nosticな分子標的)の確立の礎をつくる. 非単純結節型10例症例と単純結節型10例の網羅的遺伝子解析を行い、Gene set enrichment analysis ( GSEA )を行い、得られた標的遺伝子のタンパク発現は免疫染色を行っている。年齢、性別、遺伝疾患の有無、BMI、原発腫瘍の大きさ、個数、ホルモン症状、肉眼的周囲浸潤、リンパ節転移、分化度、Ki-67指数、血管侵襲、chromogranin A、synaptophysin、核分裂像、ホルモン産生、新しい標的遺伝子タンパク発現、PAX6免疫染色を行う。PAX6の抗体はsc-81649 anti-PAX6抗体を200倍希釈で用いる。SPSS version 23.0を用いて、無再発生存率および全生存率につき予後解析を行う。最終的な予後情報は2022年3月に収集を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の影響で手術枠が制限され、例年の半分以下の手術数となっているため、検体採取が進まないこと、また実験室を使用できない影響もあり、全国のvalidation studyも中断している。しかし、ここまでで非単純結節型10例症例と単純結節型10例の網羅的遺伝子解析は進んでおり、現在GSEA解析を行っている最中である。同時に糖鎖マーカーの探索も進んでおり、神経内分泌腫瘍のバイオマーカー選びとセラノスティクスのターゲット候補として注目している。術中超音波において造影剤ソナゾイドの到達時間をcolormappingで解析するArrival-time Parametric Imaging(以下At-PI)という新技術についての検討も進んでいる。全国のvalidationは日本神経内分泌腫瘍研究会の活動の再開を待たなければならない。
|
今後の研究の推進方策 |
令和3年度は上記GSEAで得られた標的遺伝子のタンパク発現は免疫染色を行う。糖鎖マーカー発現の病態生理学的意義を検証する。PAX6の検査症例数を200例まで増やす。CT, MRI, 術中超音波検査所見を利用した新しい非侵襲的指標のためのデータの蓄積を行う。新たに見つかった画像診断指標の中でもっとも重要な生命予後因子で最も重要な指標を選び出す。 肉眼型分類のvalidation studyとして、全国規模の前向き研究でその予後予測因子としての意義を検討する。全国から送られてきた画像を当科が判定し、TRI医療イノベーションセンターに蓄積された前向きデータとともに、肉眼型分類が及ぼす予後への影響を調査する。解析項目は、基本情報、原発巣、転移巣、採血、病理診断情報、手術の有無、薬物治療の有無、TACEの有無、予後項目などを含む。 新しい画像診断指標のvalidation studyを、日本神経内分泌腫瘍研究会のプロジェクト研究で行う。日本全国膵NETの原発切除300症例で行う。登録期間は2020年度とし、登録項目は年齢、性別、遺伝疾患の有無、BMI、原発腫瘍の大きさ、個数、ホルモン症状、肉眼的周囲浸潤、リンパ節転移、分化度、Ki-67指数、血管侵襲、chromogranin A、synaptophysin、核分裂像、ホルモン産生、新しい画像指標を表す標的遺伝子タンパク発現、PAX6免疫染色を行う。PAX6の抗体はsc-81649 anti-PAX6抗体を200倍希釈で用いる。SPSS version 23.0を用いて、無再発生存率および全生存率につき予後解析を行う。予後情報は2022年3月に収集を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で手術が止まっているため、検体が取れず、DNAチップの解析が思うように進んでいないため
|