研究課題
本研究目的は、チロシン脱リン酸化酵素:protein tyrosine phosphatase non-receptor type3(PTPN3)分子が制御性T細胞(regulatory T 細胞:Treg細胞)に及ぼす影響を解析し、PTPN3抑制治療がTreg細胞の諸機能も抑制できる新たな癌免疫治療となり得るかを検証することである。本年度は、健常人由来の末梢血単核球より分離したリンパ球を用いて、PTPN3とFOXP3の2重染色を行い、FOXP3+PTPN3+Treg細胞の同定やcell sorting法を検証した。FOXP3+Treg細胞の割合は、非常に少なく、cell sortingして分取可能なFOXP3+PTPN3+Treg細胞は少ないことが分かった。Treg細胞の割合には個人差があるため、ヒトを変えて検討したが、同様の結果であった。このcell sortingはTreg細胞の機能評価に極めて重要であるため、さらに工夫を検討すると共に現在、マウスの検体を用いてFOXP3+PTPN3+Treg細胞の同定やcell sorting法を検討している。また、肺NETの切除標本を用いて、PTPN3、FOXP3,CD3、CD8、Massontrichromeを染色した解析において、PTPN3高発現群で癌組織線維化の程度が高く(Massontrichrome染色陽性)、FOXP3+Treg細胞の浸潤細胞数が多く、CD8+T細胞の浸潤細胞数が少ない傾向があり、逆に、PTPN3低発現群で癌組織線維化の程度が低く、FOXP3+Treg細胞の浸潤が低く、CD8+T細胞の浸潤が多い傾向があることが新たに分かった。肺NETの切除標本は未だ少なく、統計的解析は困難である。今後、この結果の妥当性をマウスモデルを使用して検証できないか、現在検討しているところである。
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