研究課題/領域番号 |
19K09052
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
中山 博貴 横浜市立大学, 医学研究科, 客員講師 (60438158)
|
研究分担者 |
宮城 洋平 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所, 所長 (00254194)
星野 大輔 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 部長代理 (30571434)
菅沼 伸康 横浜市立大学, 医学部, 講師 (40724927)
吉田 達也 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (70748350)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 甲状腺未分化癌 / エピジェネティクス / EZH2 / DZnep / p53遺伝子変異 |
研究実績の概要 |
本研究は、これまでに有効な治療法が少ない甲状腺未分化癌で EZH2 が新規治療標的となるかを検討することを目的としている。 甲状腺未分化癌は、分化度の低下に伴いヨードトランスポーター (NIS) の発現が低下しているために放射性ヨード治療に抵抗性であり、有効な治療が少なく1年生存率 5-20% と非常に予後不良である。近年、分子標的治療薬の登場により治療効果の改善が期待されたが、予後に対する効果は不十分であり、さらなる治療戦略が必須である。我々はこれまでに、甲状腺未分化癌では分化癌と異なりEZH2が高発現になっていることを病理解析から明らかにし、EZH2が脱分化に重要な役割を担っているという仮説を提唱している。本研究は、甲状腺未分化癌で EZH2 を標的とした治療方法の有用性を検討することを目的として、以下の研究を行った。 まず、甲状腺未分化癌培養細胞株 TTA1,TTA2 と 8305 C に EZH2 阻害剤である DZnep を処理したところ、TTA2 のみDZnep による殺細胞効果があった。次に、このようなDZnep 感受性の違いは使用した細胞株の遺伝的背景が異なることに起因すると予想し、上記の細胞株からゲノムを抽出し、遺伝子パネル解析を行ったところ、TTA1と8305C 細胞にはp53 遺伝子変異があるのに対し、TTA2 細胞ではp53 遺伝子は野生型であることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに有効な治療法のない甲状腺未分化癌で EZH2 阻害剤の効果を確認できたため
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、培養細胞株の数を増やし、DZnep 感受性試験と遺伝子パネル解析を行い、p53 遺伝子変異との関係を明らかにする。また、DZnep 処理前後の細胞株から RNA を抽出し、2019 年度に構築したNIS を含む甲状腺分化マーカーの発現量を定量 PCR で査定し、 EZH2 と分化度の関係を明らかにする。同時に、免疫染色も行い、タンパク質レベルでの変動も解析する。
|