研究課題/領域番号 |
19K09056
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
齊藤 元 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20323149)
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研究分担者 |
水戸部 一孝 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (60282159)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 温熱療法 / 磁性体 / 悪性腫瘍 |
研究実績の概要 |
切除不能進行がんに対しては対症療法しか残されておらず,今後QOLを考慮したさらなる低侵襲治療が望まれる.本研究では 「43℃にキュリー点を持つ感温性磁性体を温度計測用プローブとして利用,目標温度到達を磁性体の透磁率変化として体外からモニターするワイヤレス温度計測による低侵襲な温熱療法システムの確立」を目標としている. 当該研究期間では,継続研究で開発したDriveコイルと温度計測のためのPickupコイル一体化ユニット,さらにノイズ低減のためのアナログ回路,誘導加熱するための高出力誘導加熱装置,ロックインアンプ,PCを組み合わせたワイヤレス温度計測・誘導加熱システムを用い,in vitro で発熱実験を行い,抗腫瘍効果としての発熱深度伸深,発熱高率や温度検知向上を目的とし,現在システムユニットの再構成含め継続検証中である. 今年度は,前年度同様の磁場検知ユニットを用い,金コーティング感温性磁性体(Au-FLICT)とドライブコイルまでのさらなる深部距離に関して検証したところ,深部を伸長するとS/N比は低下する一方,印加磁場高周波化によって磁束が金コート部分で消費され,磁気シールドで感温磁性体内部まで浸透せず,キュリー点前後での感温磁性体の透磁率の変化(到達温度)の検出精度が低下する課題が顕在化した.これらを解決すべく,関与すると思われる印加周波数,加温可能距離,温度検出限界距離などの相互関連について検証した.その結果,Driveコイル内側にPickupコイル2個をつなげた連結型Pickupコイルを用いることで,誘導起電力計測時に初期バイアス低減が可能であることが判明した.なお本課題は前年度より再現性を含め検証を継続しており,成果は年度をまたぎオーバーラップしている. 今後は連結型Pickupコイルの中心間距離について検証を継続し,最適解からの精度向上を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
継続研究で開発したDrive coil と温度計測のためのPickup coil一体化ユニット,さらにノイズ低減のためのアナログ回路,誘導加熱するための高出力誘導加熱装置,ロックインアンプ,PCを組み合わせたワイヤレス温度計測・誘導加熱システムを用い,in vitro で発熱実験を行い,深部を伸長するとS/N比は低下する一方,印加磁場高周波化によって磁束が金コート部分で消費され,磁気シールドで感温磁性体内部まで浸透せず,キュリー点前後での感温磁性体の透磁率の変化(到達温度)の検出精度が低下する課題を見出した.検証の結果,連結型Pickupコイルを用いることで,誘導起電力計測時に初期バイアス低減が可能であることが判明した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,抗腫瘍効果としての発熱深度伸深,発熱高率や温度検知向上を目的とし,見出した課題についても随時検証を加え,システムユニットの再構成など検証を行っていく.なおシステムユニットに関し再構成が行われた際には,その都度,昇温の再現性,また昇温範囲や深部到達距離なども再検証が必要と思われる.
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