研究課題/領域番号 |
19K09060
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
辻本 洋行 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (20521272)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 再生医学 / 羊膜 / 幹細胞 / コラーゲン / ゼラチン / 足場材料 / 鱗コラーゲン |
研究実績の概要 |
意義と目的:分娩の際の付属物である羊膜は、一方で優れた再生医療材料として近年注目されている。しかし羊膜は感染症や拒絶反応等の問題を有しまた人工的な加工や3次元的使用もできない。そこで我々はH25-27年度科学研究費助成研究において、羊膜の優れた特性を持ち且つ加工性に優れより安全で機能的な再生医療材料を開発しその基礎的検討を行い、H28-30年度同研究においては角膜再生モデル等の実際の臨床にて応用する場合を想定した動物実験モデルにてその効果を検討した。本研究はこれを更に発展させ、人畜共通感染症の問題が無く、且つ3次元フィブリル構造をとることが出来るため生体内でも安定しより優れた細胞増殖能や分化能を有する魚類の鱗コラーゲンにて開発した羊膜模倣再生医療材を、動物の皮膚や腹膜再生モデルを用いてその組織再生効果について検討を行う。 方法:令和元年度においては、諸事情により鱗コラーゲンの入手が困難であったため、牛豚のコラーゲンや魚類の鱗コラーゲンを用いる際において、その分解性や細胞増殖・分化能にとって重要になる架橋法について検討を行った。具体的には豚皮由来のゼラチン(コラーゲンの熱変性産物)を用いて薄膜を作成する際に、①ある物質(特許の関係で化合物Xとする)を加えて作成した薄膜と、②従来法で作成した(化合物X非含有)薄膜をある条件下にて熱架橋を行った後、i)水溶液中の分解性やii)生体内(ラットの腹腔内)での滞留性について評価検討を行った。 結果: ①化合物X含有ゼラチン薄膜は②従来法で作成した(化合物X非含有)薄膜に比べ、i)水溶液中分解性において約2倍以上の抵抗性を示し、ii)生体内(ラットの腹腔内)においても②の一週間程度で消失するのに対して①は二週間以上の滞留性を示し、しかも全く毒性も示さなかった。以上より化合物Xを用いた架橋法は安全で有効なコラーゲン架橋となる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1) 鱗コラーゲンの入手が困難であった(供給元からの供給が遅れていた) 2)動物実験施設における動物実験の使用枠が不足し実施が十分に行えなかった
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今後の研究の推進方策 |
1)本年度については架橋法について検討を行った。それにより化合物Xを加えて熱架橋行う事が、非常に安全で有効な架橋法になることが分かり、今後の研究を遂行する上にも使用する予定である。また入手が遅れている鱗コラーゲンについては、間もなく入手可能となり、それを用いた足場材料による再生実験を順次行ってゆく予定である。2)動物実験施設における動物実験の使用枠についてはゲージ数制限下ではあるが動物実験は順次実施可能となる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:現在までの進捗状況の項にも記載したが、1) 鱗コラーゲンの入手が困難であった(供給元からの供給が遅れていた)2)本校動物実験施設における動物実験の使用枠が不足し実施が十分に行えなかった等の理由により、研究の遂行に遅れが生じたために、次年度使用額が生じた。 使用計画:1)については、前述の様に架橋法について検討を行った。それにより化合物Xを加えて熱架橋行う事が、非常に安全で有効な架橋法になることが分かり、今後の研究を遂行する上にも使用する予定である。また入手が遅れている鱗コラーゲンについては、間もなく入手可能となり、それを用いた足場材料による再生実験を順次行ってゆく予定である。2)についてはゲージ数制限下ではあるが動物実験は順次実施可能となる予定であり、次年度使用額を用いて実験を遂行してゆく。
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