研究課題/領域番号 |
19K09061
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研究機関 | 東京都立小児総合医療センター(臨床研究部) |
研究代表者 |
下島 直樹 東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), その他, 部長 (30317151)
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研究分担者 |
炭山 和毅 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90385328)
小林 雅邦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40570552)
原田 篤 東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), なし, 医員 (40839536)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腸管神経 / 可視化 / ヒルシュスプルング病 / ヒルシュスプルング病類縁疾患 / 共焦点内視鏡 / 分光ビデオシステム / 神経節細胞 / 神経叢 |
研究実績の概要 |
本研究では、共焦点内視鏡(confocal laser endomicroscipy, 以下CLE))を用いた低侵襲消化管壁内神経叢の可視化を確立し、ヒルシュスプルング病や類縁疾患の根治手術における切除腸管の範囲を正確に決定するリアルタイム診断システムを構築することを目指しており、これまでヒルシュスプルング病根治術時に摘出された患者さんからの臨床検体を用いたCLEデータ(2020年Neurogastroenterology誌)および2例のヒルシュスプルング病および類縁疾患に対するCLEを用いた腸管神経の生体内観察所見(2021年BMC Med Imaging誌)を報告してきた。世界で初めて、ヒルシュスプルング病および類縁疾患患者の腸管神経を生体内でリアルタイムに可視化したことは、従来の術中迅速病理診断に代わる診断法として臨床応用が期待される一方、現在使用しているCLEのデバイスでは観察する際の焦点深度が限られており、観察可能な範囲も狭いことなどの課題も浮き彫りになってきた。 このことから、2020年度からは一度に広範囲の神経ネットワークを俯瞰的に把握できる新たなデバイスの開発を視野に入れ、目的の波長に合わせた励起が可能な分光ビデオシステムを用いた研究に着手した。2021年度は腸管神経がGFPでラベルされた実験動物(P0-Cre/CAG-CAT-EGFPマウス)を用いて観察を行った。俯瞰的に腸管全体を腸管外より観察したが、腸管に蛍光物質の発光は確認できなかった。同じ検体を用いてIVIS,GFP目視確認用LEDライトによる観察も行ったが、結果は同様で、腸管神経が蛍光を発する様子は確認できなかった。 以上より本プロジェクトは研究期間を1年間延長し、2022年度はこれまでとは異なる手法で臨床応用可能な方向性を見出すべく研究を継続する方針とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CLE観察で課題として挙がった焦点深度や観察範囲の問題を克服すべく、より広範囲に俯瞰的に観察する形での腸管神経可視化を目指し、分光ビデオカメラシステムを準備し、腸管神経がGFPラベルされた実験動物を用いてデータを取ったが、腸管神経の可視化をすることが困難であり、この方向性で研究を進めていくことが難しくなった。このことから、計画の変更、見直しが必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策はこれまでの研究から腸管神経の同定に成功したCLEを用いた観察を軸として、用いてきた蛍光物質であるクレシルバイオレットを生体内投与の安全性を示して使用できるようにしていく方向性と、その他の物質で同様の可視化が可能で生体内投与可能な物質の探索、開発をしていく方向性に大別されるが、引き続き、新たなデバイスによる新規手法の模索も継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に特定臨床研究を申請してヒト生体内観察を推進する予定にしていたが、パイロットスタディで課題が見つかり、特定臨床研究の申請を取りやめたため、その分が繰り越しになっている。 次年度は最終年度であり、課題を解決できる新規デバイスの開発費として使用していく予定である。
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