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2020 年度 実施状況報告書

乳癌リスク評価のための正常細胞内癌抑制遺伝子の構成的エピジェネティック変異解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K09063
研究機関株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所)

研究代表者

佐藤 史顕  株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所), 外科(神経内分泌腫瘍・乳癌)研究部, 上級特別研究員 (20467426)

研究分担者 川島 雅央  京都大学, 医学研究科, 助教 (80766676)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード乳がん / エピジェネティクス / リキッドバイオプシー
研究実績の概要

構成的エピジェネティック変異(constitutive epimutation: 構成的EpM)とは、ある特定の疾病の易罹患性に関連した正常細胞内のエピジェネティック異常を示す。BRCA1、hMLH1、Rb遺伝子の構成的EpMがそれぞれ、乳癌・卵巣癌、大腸癌、網膜芽細胞腫の発症に関連づけられている。本研究では、乳癌関連11遺伝子の胚細胞系列病的変異の有無が調べられている乳癌症例1808症例の血液DNA標本と、健常者の血液DNA標本を用い、日本人女性の乳癌に対する構成的EpMマーカーを同定する。そこから、胚細胞系列病的変異と構成的EpMとによる総合的な乳癌リスク評価法を開発する。乳癌関連11遺伝子のプロモーター領域の異常高メチル化を検出する、プライマープローブセットをデザインした。公的ゲノムデータベースのNCBI-GEOより、非担がん個体のWBCの全ゲノムメチル化データを収集。乳癌組織と乳癌細胞株の全ゲノムメチル化データは以前にpublish(Breast Cancer Res. 2016 Dec19;18(1):129)したデータを使用。それぞれの遺伝子の、プロモーター領域(-2000bp~TSS~第1エクソン)で、非担癌個体の標本でほぼメチル化が内領域を抽出し、乳癌組織や乳癌細胞株でメチル化が一部の症例で認められる領域を選出した。その領域にプライマープローブセットをデザインした。その検出系を検証している。また、京都大学乳腺外科のBORNバイオバンクには乳癌症例の血液標本は多いが、乳癌のない個人のWBCも収集する必要がある。関西電力病院と隣接する中之島クリニックで乳癌の有無をマンモグラフィーと超音波で診断された個人のWBC標本を収集する環境を整備中。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

乳癌関連11遺伝子のプロモーター領域の異常高メチル化を検出する、プライマープローブセットをデザインした。公的ゲノムデータベースのNCBI-GEOより、非担がん個体のWBCの全ゲノムメチル化データを収集。乳癌組織と乳癌細胞株の全ゲノムメチル化データは以前にpublish(Breast Cancer Res. 2016 Dec19;18(1):129)したデータを使用。それぞれの遺伝子の、プロモーター領域で、非担癌個体で低メチル化で、乳癌組織や乳癌細胞株でメチル化がある領域にプライマープローブセットをデザインした。その検出系を検証している。また、京都大学乳腺外科のBORNバイオバンク以外の関西電力病院での症例に関する標本収集の準備を整備中。
新型コロナウィルスの蔓延に対する、所属病院での対応に奔走していたのも実験の遅れにつながっている。

今後の研究の推進方策

各遺伝子のメチル化DNAの検出系を、細胞株DNAを用いて検証後、臨床のWBC標本(京都大学乳腺外科のBORNバイオバンクにほぞんされている標本を中心に)のDNAに適応していく予定。
その後、胚細胞系列病的変異と構成的EpMの統合解析を行う。既に蓄積している乳癌関連11遺伝子の病的遺伝子変異との統合解析を行う。病的遺伝子変異陽性のみの症例、構成的EpMのみの陽性症例と両方陽性の症例に対して、それらの比率、発症年齢、サブタイプ、家族歴の有無等の臨床病理学的情報との相関を解析する予定。また、乳癌組織・乳房内正常組織における異常メチル化の有無の検証もおこなう。
背景で説明したように、構成的EpMが乳癌罹患リスクに関わる原理は、その構成的EpMがモザイク状に乳腺内にも起こっていてそれが乳癌の発生の母地になるというものである。したがって、構成的EpM陽性症例は、その乳癌組織または乳房内正常組織内に同じ遺伝子のメチル化異常が同等以上にあると考えられる。乳癌組織や正常乳腺組織がえられている症例でそれを確認する。

次年度使用額が生じた理由

プライマープローブのデザインに時間を費やしたため、wet labが予定より少なかったため。その分2020年にwet labを増やす計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] Abemaciclibを含む多剤耐性だがEverolimusで治療効果があったCowden病による転移性乳癌の1例2020

    • 著者名/発表者名
      佐藤史顕、佐々木優、小倉信子、山田崇弘、桜井孝規、恒川昭二
    • 学会等名
      第28回日本乳癌学会学術総会
  • [学会発表] 腋窩郭清術後の上肢リンパ浮腫に対してリンパ管静脈吻合術 (LVA)を施行した4症例2020

    • 著者名/発表者名
      小倉信子、佐々木優、恒川昭二、佐藤史顕
    • 学会等名
      第28回日本乳癌学会学術総会
  • [学会発表] 異なる治療アプローチをおこなった再発悪性葉状腫瘍の2例2020

    • 著者名/発表者名
      恒川昭二、小倉信子、佐々木優、佐藤史顕
    • 学会等名
      第28回日本乳癌学会学術総会
  • [学会発表] 潰瘍を形成したトリプルネガティブ巨大乳癌に対し、パクリタ キセル/ベバシズマブ併用療法が著効した一例2020

    • 著者名/発表者名
      佐々木優、小倉信子、佐藤史顕、恒川昭二、桜井孝規
    • 学会等名
      第28回日本乳癌学会学術総会

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公開日: 2021-12-27  

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