研究課題
基盤研究(C)
Th17細胞が乳癌細胞の増殖に与える影響について、乳癌細胞に発現するTh17細胞との相互作用関連蛋白CLEC2Dの臨床病理学的発現意義の解析および培養細胞を用いた機能解析ならびにTh17細胞の浸潤の臨床病理学的意義の解析により検討した。CLEC2Dは乳癌細胞の細胞膜および細胞質に発現し、CLEC2D陽性症例は有意に増殖能が高く予後不良であることが分かった。また、Th17細胞の浸潤はトリプルネガティブ乳癌において特に予後不良因子で、乳癌組織への好中球への浸潤を促している可能性が示唆された。
病理学、腫瘍学
乳癌を含む固形腫瘍にはTh17細胞がしばしば浸潤しているが、その意義はこれまで十分明らかでなかった。本研究ではTh17細胞が乳癌細胞に発現するCLEC2Dを介して乳癌の増殖を促している可能性、ならびにIL-17Aが乳癌組織への好中球の遊走を促進している可能性が明らかとなった。これらの成果は乳癌の治療抵抗性メカニズムの解明や新規治療標的の探索に居するものと考えられ、他の癌腫への応用も期待されると考えられる。