研究課題
本研究の目的は、Hirschsprung病(HSCR)の遺伝子診断による診断率を高め、遺伝子診断の汎用性を向上させることである。そのためには詳細な患者情報を含んだデータベースが必須である。そのため、HSCR児の詳細な診療情報(治療経過・合併する先天異常・HSCRの家族内発生)を含んだデータベースを作成中である。それを元に患者・患者家族とコンタクトをとり、研究に関する説明を行い、研究参加の同意書を得た後、血液検体を採取した。家族内発生が認められた場合は、当該患者に加えて家族の検体も収集した。検体は匿名化され、適切な状態で保管されている。更に、今まで単施設のみで検体採取を行っていたが、やはり単施設のみでは検体数に限界がみられていた。そこで新たに6施設(千葉県こども病院、東京女子医科大学八千代医療センター、君津中央病院、松戸市立総合医療センター、国立成育医療研究センター、東京都立小児総合医療センター)の協力を頂き、多施設共同研究として新たに倫理審査を中央一括で通過させ、現在検体採取を進めている。検体の採取・保存に関しては、Long-read sequencerでの解析に耐えうる状態で行われることが肝要である。この点を十分に考慮した上で、我々は検体採取・検体保存・DNA抽出・DNA保存の方法を確立した。更に、Smart Blood DNA Midi Kitを用い、DNAの破壊を最小限にするためのプロトコールを確立した。実際に採取したDNA検体の質についてQubidで検討し、全検体において80%以上の十分な品質でDNAが採取できていることを確認済である。現在、20家系異常を含む80検体のDNAを解析中である。RET等、既存の遺伝子異常の他に注目すべき異常が見つかってきている。