研究課題
我々は生体内組織形成術(in-body tissue architecture, iBTA)を用いた小腸再生を目指し,マウス小腸とbiotubeの吻合を試みたが腸液の漏出により死亡し,biotubeが粘膜を有しないこと,蠕動しないことが原因と考えた。そこで,まず小腸上皮を有するbiotubeを作成するため,小腸上皮を幹細胞を含む立体構造として培養した小腸上皮オルガノイドをbiotubeに移植し,biotube内腔に上皮を付与することを目指した。さらに,有茎小腸とbiotubeを吻合することにより小腸biotube吻合を行う手法を考案した。C57BL/6Jマウスの背部皮下に径3mm,長さ15㎜のシリコン製の鋳型を埋入し,4週後に周囲に形成されたbiotubeを使用した。①biotubeへの小腸上皮オルガノイド移植:EGFPトランスジェニックマウスの小腸より小腸上皮を採取しオルガノイド培養を行った。背部皮下のbiotube内腔にオルガノイド懸濁液を注入して飼育を継続し,day1,day7に摘出し組織学的に検討した。②biotubeと有茎小腸の吻合:biotubeを作成したマウスを開腹し2cm長の有茎小腸を切離して皮下へ挙上し,背部皮下のbiotubeと端端吻合した。小腸とbiotubeの両端は結紮閉鎖し,4週後に組織学的に解析した。①biotubeへの小腸上皮オルガノイド移植:day1にbiotube表面に接するGFPおよび上皮性マーカーであるE-cadherin陽性のオルガノイドの組織を認め,接着を確認した。day7でもオルガノイドの組織は残存して接着を維持し一部に上皮様の構造の形成を認めた。②biotubeと有茎小腸の吻合:術後,biotubeと有茎小腸内腔に分泌物や脱落した粘膜と考えられる残渣が貯留し定期的に切開し排出を要した。4週後,biotube内腔は狭小化していたがbiotubeと小腸壁は連続性を持って癒合していた。biotubeには小腸上皮や平滑筋の形成は確認できなかった。
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