研究課題/領域番号 |
19K09072
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
徳永 卓哉 徳島大学, 病院, 助教 (30448328)
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研究分担者 |
柏原 秀也 徳島大学, 病院, 特任助教 (10548738)
齋藤 裕 徳島大学, 病院, 特任助教 (50548675)
西 正暁 徳島大学, 病院, 助教 (70464344)
吉川 幸造 徳島大学, 病院, 講師 (80448331)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脂肪由来幹細胞 / 神経再生 / Schwann細胞 / 排尿障害 / HGGB1 / mTORC1 |
研究実績の概要 |
〈背景〉直腸癌手術において、骨盤内神経損傷による術後排尿障害はQOL低下の一因となる。脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)を用いた神経再生効果が報告されているが、ADSCの生着、分化過程には不明な点が多い。還元型HMGB1は静止期にある幹細胞の細胞周期をGalert期に移行させ組織再生を促進すると報告されている。HMGB1はSDF-1αと複合体を形成し、ADSC表面のCXCR4と結合することから還元型HMGB1はADSCを神経損傷部位に誘導し、神経再生を促進させるのではないかとの考えに至った。追加検討としてForic acidを添加することによる分化誘導の有用性、3次元培養法を用いた分化誘導の有用性についても検討する。〈方法〉1.還元型HMGB1投与によるADSCのSchwann細胞への分化促進:神経細胞と還元型HMGB1をtranswellにて培養しmTORC1、S100、NGF等の発現を検討。2.排尿障害モデルラットを作成。3.排尿障害モデルラットへの還元型HMGB1の投与:還元型HMGN1を切離された骨盤内臓神経周囲に局所投与、未分化ADSCを尾静脈より血管内投与し、排尿機能改善効果と神経再生を評価。4.Folic acid(FA)を添加し分化誘導に与える影響について検討。5.3次元培養法を用いた分化誘導の有用性について検討。〈結果〉1.ADSCからSchwann細胞へ分化誘導しPCRでS100の発現を確認。2.排尿障害モデルラットを作成し、排尿回数の減少、最大排尿圧の低下を確認。3.今後、還元型HMGB1投与による効果を検討する予定。4.FAの添加によってSLCのSchwann cell marker発現は増強し、NGFの分泌量は増加した。5.3次元で培養したSchwann cellはSchwann cell markerの増強を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分化誘導カクテル(Exp Neurol. 2007)に従いADSCからSchwann細胞への分化誘導を行いPCRでS100の発現を確認した。また、FAR添加によるSLCのSchwann cell markerの発現増強、NGF分泌量の増加を確認した。3次元培養でもSchwann cellはSchwann cell markerの増強を確認した。今後、還元型HMGB1投与による効果を検討する予定である。膀胱内圧を測定する器械類を購入しin vivoで排尿障害モデルラットを作成した。排尿障害モデルラットは排尿回数が少なく、最大排尿圧はsham群と比較して低かった。今後培養したSchwann cellを排尿障害モデルラットに投与し、膀胱内圧を測定する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ADSCからSchwann細胞へ分化誘導できることを確認した。より機能的なSchwann細胞を作成するためにFAを添加した培養プロトコールを作成し、また三次元細胞構造体「CellSaic」を用いた3D培養でもSchwann cellマーカーの増強を確認した。今後、排尿障害モデルラットに投与を行い膀胱内圧測定などにより改善効果を検討していく。 また、還元型HMGB1投与による効果に関しても検討する予定である。
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