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2021 年度 実施状況報告書

革新的な新規リキッドバイオプシー法を用いた新しい乳癌の診断・治療法の探索

研究課題

研究課題/領域番号 19K09075
研究機関長崎大学

研究代表者

及川 将弘  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (90612416)

研究分担者 三嶋 博之  長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (10513319)
矢野 洋  長崎大学, 病院(医学系), 講師 (50380887)
大坪 竜太  長崎大学, 病院(医学系), 講師 (80570043)
永安 武  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード乳がん / リキッドバイオプシー / circulating tumor DNA / トランスレーショナルリサーチ / 次世代シークエンス / copy number analysis
研究実績の概要

本研究の目的は、原発巣/転移巣における変異情報またはHot spot mutationの情報を用いることなく血漿循環がんDNAを高感度に検出可能な新規リキッドバイオプシー法を活用して、乳がん治療における新規診断法および治療法を開発することにある。
HER2陽性乳癌におけるリキッドバイオプシー解析では周術期乳癌20例、転移再発の16例から86の血漿サンプルを収集した。cfDNA濃度の平均は前者の治療開始前で11.1ng/mL、後者の登録時で26.3ng/mLで、転移再発症例で高い傾向を認めた。治療前後の比較が可能であった周術期乳癌の13例において、治療前の平均cfDNA濃度は11.1ng/mL、治療後は24.1ng/mLと、治療後に上昇を認めた。NGS(次世代シークエンサー)によるcopy number解析を行った周術期の11症例中2例(18%)でctDNAを検出し、1例でHER2増幅を認めた。転移再発の6症例中4例(67%)でctDNAを検出し、うち2例でHER2増幅を認めた。周術期の1例では治療後にctDNAが消失しており、病理学的にも奏功が得られた。転移再発で治療によりCR(完全奏功)となった1例でもctDNAが消失し、経過と一致した。現在、最終データ解析中である。
また、2014年から2019年の間に緩和ケア病棟に入院し、死亡退院となった転移再発乳癌患者85例を対象として、生存期間と年齢・PPI・Disease free interval (DFI)・治療ライン・転移箇所・原発巣及び転移巣のサブタイプ等の臨床病理学的因子との関連を解析した。PPI score 6点未満(P= 0.001)、Lum-HER2タイプ(P= 0.003)、肝転移がない(P= 0.001)、DFI33ヶ月未満(P= 0.028)が有意に生存期間延長に寄与していた。PPIに加え、サブタイプ等の臨床病理学的因子を加えることにより、より精密に終末期乳癌患者の予後予測が可能であった。今後、論文化の予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

末期乳がん患者、トリプルネガティブ乳がん患者のサンプル収集が遅れているものの、おおむね順調に進んでいる。しかし、度重なる新型コロナ感染症まん延に伴う県外渡航禁止、宿泊禁止の影響で実験室でwetな実験を行うことが出来ず、進捗が遅れている。

今後の研究の推進方策

HER2陽性乳がん症例における新規リキッドバイオプシー法を用いた治療効果の予測では症例登録期間は完了し、周術期乳癌20例、進行再発乳癌16例の治療前後及び経時的な血漿サンプルを回収している。解析が終了していないサンプルの解析を進め、昨年度解析が終了したサンプルのデータと併せて解析を行う予定である。
末期乳がん症例における新規リキッドバイオプシー法を用いたctDNA解析と予後予測では、現在までに9例の血液検体を採取した。さらに収集と解析を進める。
トリプルネガティブ進行再発乳がん症例における新規リキッドバイオプシー法を用いた治療抵抗性の解析では、これまでに5症例26サンプルを回収しDeep freezerで保管中である。ある程度サンプルが貯まった段階でctDNA解析を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

昨年度は新型コロナ感染症まん延による度重なる緊急事態宣言、外出自粛の影響のため、実験室での実験が予定通り行えなかった。消耗品費及び旅費が予定より少なくなったため、次年度使用額が生じた繰越金はctDNA抽出、ライブラリ作成、NGS解析に充てる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 乳癌再発予測と画像所見の対比 (多重遺伝子解析をふくめて) (2) 乳癌のMulti-gene assayと石灰化病変との関連解析2021

    • 著者名/発表者名
      及川将弘, 濱田哲夫, 及川達司
    • 雑誌名

      乳癌の臨床

      巻: 36 ページ: 273-279

    • 査読あり
  • [学会発表] BRACAnalysisにて変異陰性を確認後に卵巣がんを発症した若年乳がんの一例2022

    • 著者名/発表者名
      及川将弘、瀬戸口優美香、榎本康子、久松和史、濱田哲夫、及川達司
    • 学会等名
      日本乳癌学会九州地方会2022
  • [学会発表] 2種類の多遺伝子アッセイ(OncotypeDX, CureBest95GC)と臨床病理学的因子の検討2021

    • 著者名/発表者名
      及川将弘 、瀬戸口優美香 、榎本康子、久松和史 、濱田哲夫、西村純子 、田中俊裕、及川達司
    • 学会等名
      日本乳癌学会学術総会2021(シンポジウム)

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公開日: 2022-12-28  

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