研究課題
本研究では原発巣/転移巣における変異情報またはHot spot mutationの情報を用いることなく血漿循環がんDNAを高感度に検出可能な新規リキッドバイオプシー法を活用して、乳がん治療における新規診断法および治療法を開発。HER2陽性乳癌におけるリキッドバイオプシー解析では周術期乳癌20例、転移再発の16例から86の血漿サンプルを収集した。cfDNA濃度の平均は前者の治療開始前で11.1ng/mL、後者の登録時で26.3ng/mLで、転移再発症例で高い傾向を認めた。治療前後の比較が可能であった周術期乳癌の13例において、治療前の平均cfDNA濃度は11.1ng/mL、治療後は24.1ng/mLと、治療後に上昇を認めた。NGSによるcopy number解析を行った周術期の11症例中2例(18%)でctDNAを検出し、1例でHER2増幅を認めた。転移再発の6症例中4例(67%)でctDNAを検出し、うち2例でHER2増幅を認めた。周術期の1例では治療後にctDNAが消失しており、病理学的にも奏功が得られた。転移再発で治療によりCRとなった1例でもctDNAが消失し、経過と一致した。また、2014年から2019年の間に緩和ケア病棟に入院し、死亡退院となった転移再発乳癌患者85例を対象として、生存期間と年齢・PPI・Disease free interval (DFI)・治療ライン・転移箇所・原発巣及び転移巣のサブタイプ等の臨床病理学的因子との関連を解析した。PPI score 6点未満(P= 0.001)、Lum-HER2タイプ(P= 0.003)、肝転移がない(P= 0.001)、DFI33ヶ月未満(P= 0.028)が有意に生存期間延長に寄与していた。PPIに加え、サブタイプ等の臨床病理学的因子を加えることにより、より精密に終末期乳癌患者の予後予測が可能であった。
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Breast Cancer: Targets and Therapy
巻: Volume 16 ページ: 223~231
10.2147/BCTT.S447290