研究課題
平均赤血球容積(MCV:mean corpuscular volume)は赤血球容積の平均値であり、飲酒、喫煙と関連して高値となる。飲酒、喫煙は食道扁平表皮癌のリスク因子であるだけでなく、field cancerizationの原因となり、さまざまな重複癌の発生に寄与する(1)。MCV高値とfield cancerizationの関連に関して、食道粘膜のメチル化異常、長鎖散在性反復配列(LINE-1)との関連を調査した結果、癌部においてLINE-1コピー数が有意に高く、加えてDNAメチル化と負の相関があることが明らかになったが、MCVとLINE-1コピー数、DNAメチル化との有意な関連は認められなかった。食道扁平上皮癌患者におけるMCVの臨床的意義に関しては、後ろ向き単施設での研究を通じて、MCV高値が重複癌増加、術後合併症増加、長期予後不良と関連することを示した(Ann Surg 2020)(2)。また同様の赤血球マーカーである赤血球分布幅(RDW:red blood cell distribution width)の臨床的意義について解析を行いMCVとの関係を解析した。その結果、RDWはMCVとの交絡なしに食道癌術後の合併症のリスク因子であり、予後不良のマーカーとなることを明らかにした(Ann Surg Oncol 2022, Ann Surg Open 2022 in press)(3-5)。さらに、多施設共同研究を行い、MCV高値が重複癌増加、術後合併症増加、長期予後不良と関連することを確認した(Ann Surg Open 2022 in press)。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Annals of Surgery Open
巻: 3 ページ: e153~e153
10.1097/AS9.0000000000000153
Ann Surg Open
巻: - ページ: in press
Annals of Surgical Oncology
巻: 29 ページ: 606~613
10.1245/s10434-021-10719-2
巻: 29 ページ: 614~615
10.1245/s10434-021-10756-x