研究実績の概要 |
8週齢の雄性BALB/cにLipopolysaccharide(20μg/g-BW n=10)を腹腔内投与し敗血症モデルを作製した. 作製した敗血症モデル動物に40pmol/g-BWのRAGEアプタマーあるいはコントロールアプタマーを腹腔内投与し,生存率,血液生化学検査, HMGB1, NF-κB, Cytokine(TNFα, IL-1β, IL-6), 血中単核球と腎臓の遺伝子発現及び腎の病理組織学的検討とヒトTHP1細胞をもちいて同様の検討を行った. RAGEアプタマー投与群は, 24時間の生存率(p<0.01), 血液生化学検査;AST/ALT・BUN/Cr・Lactate (p<0.01), HMGB1 (p<0.01), NF-κB (p<0.01), Cytokine;TNFα・IL-1β・IL-6 (p<0.05), マウス血中単核球と腎の遺伝子発現;HMGB1・TNFα・IL-1β・IL-6 (p<0.05),及び腎の病理組織学的所見;HMGB1・TNFα・IL-1β・KIM-1 (p<0.01),IL-6 (p<0.05)において有意な改善を認めた.ヒトTHP1細胞においてもRAGEアプタマー投与群はHMGB1,Cytokine;TNFα・IL-1β・IL-6の発現と細胞死の有意な改善を認めた. その機序として, RAGE下流のメディエーターの発現が抑制され, 過剰な炎症性メディエーターの放出や誘導を改善した結果, 臓器障害を抑制し生存率が改善したと考えられた. RAGEアプタマーがRAGEを介する炎症反応とRAGEを標的とした障害の進展を抑制し, 包括的に敗血症の重症化を抑制した可能性が示唆された. 当該アプタマーを用いることにより新しい敗血症治療薬の開発にも道が開けると考える.
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