研究課題/領域番号 |
19K09090
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
森 龍太郎 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (00738635)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 5FU / 耐性 / メタボローム解析 / Thymidine phosphorylase |
研究実績の概要 |
乳癌治療において5FUは重要性を増しており、乳癌における5FU耐性機序とその克服について検討を行った。乳癌細胞株MCF7とその5FU耐性株MCF7/5FUR、および乳癌細胞株MDAMB231とその5FU耐性株MDAMB231/5FURを使用した。前年度の研究結果から両細胞において5FU代謝経路がことなることが示唆され、実際MCF7では5FUはOrotate phosphoribosyl transferase (OPRT)により代謝され5FU活性体であるFluoro-deoxyuridine monophosphate (FdUMP)へ変換されていたが、MDAMB231はThymidine phosphorylase (TP)で代謝されてFdUMPへ変換されていた。5FU耐性獲得後は両細胞ともに5FUはOPRTで代謝されてFdUMPへ変換されるようになっており、5FUにTP阻害薬を併用すると5FUの作用が増強された。細胞株によって5FUの代謝経路がことなるのは、前年度に行ったメタボローム解析の結果から、細胞内のPhosphoribosyl pyrophosphate (PRPP)やDeoxyribose-1-phosphate (dR1P)の濃度の違いに基づいていると考えられ、5FU耐性機序には細胞内の代謝産物(メタボライト)が関与していると考えられた。今回検討した5FU耐性乳癌細胞株においては、OPRTで活性化された5FUはTP経由で分解され、これが主な耐性機序と考えられ、5FUにTP阻害薬を併用することにより、この耐性機序が解除されたと考えられた。このことから5FUとTP阻害薬の併用療法は、乳癌治療において有望な治療の候補と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年に行ったメタボローム解析の結果に基づき、解析を行っているため、計画書の記載通りに進捗していると考える
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から、乳癌細胞株MCF7とMDAMB231で、5FU代謝経路がことなり、5FU耐性獲得のメカニズムがことなることが明らかとなった。また、5FUにTP阻害薬を併用すると5FU獲得耐性が克服できることが示唆された。今後はさらにほかの乳癌細胞株においても5FU耐性獲得のメカニズムを解析していき、また5FUにTP阻害薬を併用することの問題点についても明らかにしていく予定である。
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