前年度に引き続き、新規免疫抑制剤であるPQA-18およびブタ細胞上に強制発現させたヒトTIGIT分子のマクロファージ誘導拒絶反応に対する抑制効果をin vitroの系を用いて検討した。PQA-18およびTIGITはマクロファージによる細胞傷害活性を著明に抑制した。また単球からマクロファージへの分化に対する影響を調べたところ、PQA-18は著明にマクロファージへの分化を抑制することが明らかとなった。さらにリンパ球混合試験の結果、PQA-18はT細胞の増殖を抑制し、その抑制メカニズムとしてT細胞に対する直接的な抑制効果と抗原提示細胞を抑制することによりT細胞への活性化シグナルを抑える二種類のメカニズムがあることが明らかとなった。一方、TIGITはマクロファージに発現するCD155に結合し抑制シグナルを誘導することがブロッキングアッセイにより明らかとなった。これらの結果よりわかることは、PQA-18は異種移植拒絶反応において自然免疫と獲得免疫の両方に有効である。PQA-18で活性化シグナルを抑えつつ、TIGITにより抑制シグナルを抑制することにより相加・相乗効果が期待できると考えられる。
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