研究課題/領域番号 |
19K09095
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山田 眞一郎 徳島大学, 病院, 特任助教 (30579884)
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研究分担者 |
齋藤 裕 徳島大学, 病院, 特任助教 (50548675)
森根 裕二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60398021)
居村 暁 徳島大学, 病院, 特任教授 (90380021)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | NASH / 肝発癌 / 肝切除 / 腫瘍微小環境 / Western diet / 大建中湯(TU-100) |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、NASH肝切除モデルにおける肝発癌促進の機序解明を目指し、NASHにおける病態増悪の予防に繋げることである。肝切除モデルを作成する前に、自然発症NASHマウスモデル(TSODマウス)による発癌機序と予防効果について検討した。すなわち、まず腸内細菌叢が変化し、tight junctionが脆弱化することによりbacterial translocationが起こる。そして門脈血流を介して肝星細胞が活性化され、IL-6やIL-1βといった炎症性サイトカインが分泌されることによりNASH進展、線維化、発癌が起こるという機序である。そして実臨床で広く利用されている漢方薬・大建中湯(TU-100)が星細胞の活性化、サイトカインの抑制を介して肝発癌の抑制につながることを解明した。さらにin vitroの実験では、肝癌において癌関連線維芽細胞(CAF)がIL-6を介して、また腫瘍関連マクロファージ(TAM)が転写因子Nrf2やVEGFを介して悪性度獲得に関与することをつきとめた。以上より、NASH肝切除モデルでは、腫瘍微小環境の構成因子であるCAFやTAMが肝切除による侵襲・刺激によりさらに活性化され、通常のNASHや正常肝の肝切除後より発癌ポテンシャルが高いことが予想された。現在はC57BL/6J雄性マウスにWestern diet投与に加えCCl4を腹腔内投与することにより、NASH発癌モデルを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず自然発症NASHマウスモデルによる発癌機序解明を行ったため、NASH発癌肝切除モデルによる発癌促進が確認できていない。しかしすでにWestern dietの投与、CCl4の腹腔内投与を開始しており、現在マウス肝切除の訓練により手技を安定させている状況である。令和2年9月に犠死させ、肝内の腫瘍微小環境やサイトカインの多寡について検討することを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度の研究において、すでにNASH発癌肝切除モデル作成のため飼料と薬剤の投与を開始しており、肝切除手技の訓練を行っている。肝組織のPCRや免疫染色に使用する物品はすべて準備しており、モデルが完成すればすぐに検討項目の測定に移行できると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)計画書作成時に購入予定であった消耗品の価格変動のため (使用計画)残額については、4月支払い(116,886円)のものが含まれており、薬剤および特殊飼料は3月中に納品され既に投与を開始している。その他の次年度への繰越額は動物実験のための消耗品に使用予定である
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