研究課題/領域番号 |
19K09103
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
藤原 なほ 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20589543)
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研究分担者 |
宮原 克 順天堂大学, 大学院医学研究科, 技術員 (00420844)
山高 篤行 順天堂大学, 医学部, 教授 (40200703)
田中 奈々 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50530656)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腸管神経 / ヒルシュスプルング病 / 細胞移植 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
われわれはこれまで腸管神経の発生に関連する遺伝子SOX10に緑色蛍光タンパクを標識させたSOX10-VENUSトランスジェニックマウスとエンドセリンレセプターB(EDNRB)ノックアウトマウスの交配により作成したH病モデルマウスの胎仔腸管から採取した神経幹細胞を用いて、病態解明を行ってきた。本課題ではその分離・培養方法をさらに効率化し、まずは正常腸管に移植することにした。腸管細胞採取ののちにGFP陽性細胞も含め培養し、正常腸管と共培養する方法を試行し、さらにはH病モデル無神経節腸管とのin vitro共培養実験を行った。正常腸管から作成した腸管神経幹細胞塊(Neurosphere)は正常腸管と共培養すると、全周性に神経軸索の伸展を認めたが、一方で疾患腸管との共培養では偏りがある不揃いな神経軸索の伸長が観察された。 正常マウス胎仔ではe13.5ではすでは下部腸管まで神経幹細胞が達しているが、H病モデルマウスでは回盲部周囲で止まっていることから、回盲部以前の上部腸管と以降の下部腸管に正常腸管、H病モデル腸管と分けてさらに詳細な発達の検証を行い、H病モデルマウス腸管との共培養では有神経細胞区域であっても正常腸管の同部位とは異なる神経形成過程であることを証明した。 これらの実験より、正常腸管から作成した神経幹細胞の正常発達には腸管環境が大きく影響しており、有神経幹細胞区域であったもH病モデル腸管と正常マウスの有神経幹細胞区域と全く同じとはいえないことがわかった。このことにより、将来的に細胞移植等の治療開発には移植先となる腸管環境の検証および改善が必須であることが判明した。今までの結果をまとめ、国際学術集会・英語論文にて成果発表を行った。
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