研究課題/領域番号 |
19K09108
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
畑山 直之 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80534792)
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研究分担者 |
小原 弘道 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (80305424)
伊藤 恭彦 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60402632)
小林 孝彰 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70314010)
平井 宗一 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70516054)
内藤 宗和 愛知医科大学, 医学部, 教授 (10384984)
福重 香 愛知医科大学, 医学部, 助教 (30805023)
横田 紘季 愛知医科大学, 医学部, 助教 (50815876)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マウス / 腎臓 / ウルトラファインバブル / 一酸化炭素 / 酸素 / 虚血再還流障害 |
研究実績の概要 |
研究実績の概要; 本研究は,酸素およびガスメディエータを含有したUFBを作成し,移植臓器に対するUFBの有効性を検証する.令和2年度は,マウス腎虚血再灌流障害モデルを用いてCOだけでなく他のガスメディエーター(H2S,NO,Xe)によるUFBの効果を検証した。また,ブタの腎臓を用いてCO-UFBにて24時間保存し、大動物の腎臓を用いた体外循環評価モデルを検討した。 具体的内容; マウス腎虚血再灌流障害モデル(両側腎動脈を40分間遮断後に再灌流)にてUFBの虚血再還流障害への効果を評価・検討した。腎動脈クランプの1時間前にUFBを投与し、再灌流から24時間後に腎機能を評価した。CO-UFB投与群は、組織学的評価を加えた結果、組織構造が何も処置していないNormal群と差がなく、組織構造がきれいに保たれていた。一方で、生理食塩水投与群では、組織間に出血が見られ尿細管にはタンパク円柱が確認された。また他のガスメディエーターとして、H2S,NO,Xeを含有させたUFBにて同様の実験を行ったが、虚血腎臓の保護に関して大きな効果は見出せなかった。また大動物腎臓の体外循環評価モデルの条件を検討し、灌流評価をするための条件を確立した。 意義・重要性; COを含んだUFBは虚血状態の腎臓に対して保護効果を示し、組織学的に糸球体や尿細管の構造を保ち、虚血再還流障害を軽減することがわかった。他のガスメディエーターとしてH2S,NO,Xeを含むUFBを検討したが、大きな効果は得られなかった。主要なガスメディエーターにおいて、CO-UFBが虚血腎への保護効果が大きく、機械灌流保存における灌流液へ応用できる可能性を示唆した。大動物腎臓体外循環評価モデルの条件を確立させたことにより、ブタやイヌの腎臓を用いた実験を行うための基盤を形成したと言えるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス腎虚血再灌流障害モデルにて、主要なガスメディエーターを含むUFBの中からCO-UFBが虚血腎に対して一番大きな効果を発揮することがわかった.これにより次年度以降の実験へ着実に進んでいける.組織学的な評価も行い、着実に評価を行っているが、分子生物学的評価が不足しているため,解析をさらに進める必要がある.また、最終年度は、大動物(ブタ・イヌ)による腎臓を用いた実験を予定しており、ブタ腎臓体外循環(IPPK)評価モデルの条件を確立させたことにより、計画通りに大動物による腎臓評価実験を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は,マウス腎虚血再灌流障害モデルの解析を引き続き行う.具体的には,採取した腎をReal Time RT-PCRにより炎症性サイトカイン,細胞死,抗酸化関連のmRNA発現を定量し,Western blot法により関連タンパク発現の定量を行う.今回のいくつかのガスメディエーターを含むUFBの検証により, 虚血再灌流障害に効くUFBの最適なガス種としてCOを主軸に使用することが決定した.これらの結果を踏まえ、ラット腎臓移植評価モデルと大動物(イヌ・ブタ)腎臓体外循環評価モデルを並行して実験を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
繰越金額が出た場合の理由;令和2年度は、450,260円の翌年度繰越額を計上した。新型コロナウイルスの影響により実験へのエフォートが下がってしまい、想定した予算よりも低い支出になった。その結果、未使用額が生じた。 繰越額を含めた使用計画;令和3年度は、ラットを用いた腎移植実験と大動物(ブタ、イヌ)の腎臓保存実験による評価・検討を行うため、未使用額はその経費に当てることとしたい。
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