研究課題
本研究では、2012年から2年間にわたって実施した厚生労働科学研究費補助金 がん臨床研究事業「精度の高い臓器がん登録による診療ガイドラインや専門医育 成への活用に関する研究」(後藤班)の中で実施したアンケート調査結果をもとに、食道癌・胃癌・大腸癌・肝癌・膵癌等の消化器癌に関して、ストラクチャー やプロセスが如何にアウトカムに影響を与えるかを全国レベルで明らかにすることを目的とした。それぞれの癌に対する各種診療ガイドラインから推奨度の高いものを5-11項目選択し、これらの項目とともに、消化器外科関連学会の修練施設の区分、また、その専門医等を含む施設環境が、関連手術術式のリスク調整した手術関連死亡率にどのように影響を持つかを検討する。アンケート調査を実施した2013年、2014年の手術症例において、NCD登録拒否のない症例/性別・30日状態に欠損なし・承認済例に限定し、アンケートを突合、 実施例のみを解析した。基礎データとしては、アウトカムおよびリスクモデル関連変数の分布、施設ごとのアンケート結果の施設診療科volumeごとの分布を明らかにする。多変量解析は施設診療科レベルのクラスタリングを考慮するため、GEE logistic regressionを使用し、手術関連死亡をアウトカムとし、患者レベルのリスクを補正した、各項目のオッズ比を計算する。それぞれの癌関連術式である食道切除再建術、胃切除術、胃全摘術、結腸右半切除術、低位前方切除術、肝切除術、膵頭十二指腸切除術において解析を進め、論文化を目指した。
2: おおむね順調に進展している
食道切除再建術、胃切除術、胃全摘術、結腸右半切除術、低位前方切除術、肝切除術、膵頭十二指腸切除術において既に解析は終了し、1)食道切除再建術、 2)胃切除+胃全摘術、3)結腸右半切除術、4)肝切除術、5)膵頭十二指腸切除術について結果をまとめることが出来ている。1)、3)、5)についてはpeer reviewジャーナルに投稿し、すでに論文化が達成された。4)においても投稿し、現在査読中である。2)においては、投稿準備を進めている。
研究実績の概要で記した厚生労働科学研究の後藤班では医療の質改善を目指し米国ACS-NSQIP共同研究も進めてきた。本研究の昨年度の成果とともにAMED「医療の質の向上及び効率化に向けた、肝移植手術におけるリスクモデルの作成とエビデンスの創設」で得られた研究内容を、2020年1月、ACS-NSQIPとの合同会議にて紹介したところ、高い評価が得られた。 今後の本研究の成果等を共有することにより、更なる両国の医療の質向上が期待できるため、引き続き国際共同研究も視野にいれ、研究を推進する。また、上記、肝移植手術におけるリスクモデルにおいて重要なリスク因子である、移植肝重量に関して、候補ドナーの体重や身長等を用いた予測式を作成し、その方法論の新規性とその妥当性をこれまでの報告例と比較対比し報告する準備を進めている。
食道再建術、結腸右半切除術について論文化したが、学会会員であったため論文掲載料、オープンアクセス料等の免除があり、繰越金が発生した。 次年度は国際共同研究や医療の質改善に関する研究等も含めたものに使用予定。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件)
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