医療の質に及ぼすがん診療ガイドラインの実施状況と診療環境の検討

2022 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K09111
• 研究機関: 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター(臨床研究支援センター)
• 研究代表者: 後藤 満一 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター(臨床研究支援センター), 大阪急性期・総合医療センター, 名誉総長 (50162160)
• 研究分担者: 丸橋 繁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20362725) ; 宮田 裕章 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (70409704)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: NationalClinicalDatabase / 診療ガイドライン / アンケート調査 / Quality Indicator / 修練施設 / 手術関連死亡 / がん診療 / 国際共同研究

研究実績の概要

本研究では、2012年から2年間にわたって実施した厚生労働科学研究費補助金 がん臨床研究事業「精度の高い臓器がん登録による診療ガイドラインや専門医育成への活用に関する研究」(後藤班)の中で実施したアンケート調査結果をもとに、食道癌・胃癌・大腸癌・肝癌・膵癌等の消化器癌に関して、ストラクチャーやプロセスが如何にアウトカムに影響を与えるかを全国レベルで明らかにすることを目的とした。それぞれの癌に対する各種診療ガイドラインから推奨度の高いものを5-11項目選択し、これらの項目とともに、消化器外科関連学会の修練施設の区分、また、その専門医等を含む施設環境が、関連手術術式のリスク調整した手術関連死亡率にどのように影響を持つかを検討した。
それぞれの癌関連術式である食道切除再建術、胃切除術、胃全摘術、結腸右半切除術、低位前方切除術、肝切除術、膵頭十二指腸切除術において解析を進め、論文化を目指した。
また、医療の質の向上に関して米国ACS-NSQIPと共同研究を実施した。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

食道切除再建術、胃切除術、胃全摘術、結腸右半切除術、低位前方切除術、肝切除術、膵頭十二指腸切除術において既に解析は終了し、1)食道切除再建術、2)胃切除+胃全摘術、3)結腸右半切除術、4)肝切除術、5)膵頭十二指腸切除術について、peer reviewジャーナルに投稿し1）、3）、4）、5）は論文化した。また、先行研究である「医療の質の向上及び効率化に向けた、肝移植手術におけるリスクモデルの作成とエビデンスの創設」（AMED）において、ACS-NSQIPとの共同研究の中で議論したドナー肝重量の予測モデルの信頼性評価について課題整理をおこない論文化した。

今後の研究の推進方策

胃切除、胃全摘術に関しても、ストラクチャーやプロセスが如何にアウトカムに影響を与えるかについてそのオリジナリティを明確にし、論文化につなげたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で、ACS-NSQIPとのin person での会議が開催出来なかったこと、また、投稿論文が採択されず、オープンアクセス等の費用が持ち越されたことによる。

備考

米国、ACS-NSQIPのDr.. Koとウェブ会議を開催し、surgical risk calculator の2国間の検証研究や医療の質向上に関する情報交換をおこなった。

研究成果

• [国際共同研究] ACS-NSQIP(米国)
  • 国名: 米国
  • 外国機関名: ACS-NSQIP
• [雑誌論文] Achieving clinically optimal balance between accuracy and simplicity of a formula for manual use: Development of a simple formula for estimating liver graft weight with donor anthropometrics (2023)
  • 著者名/発表者名: Ichihara Nao、Sato Naoya、Marubashi Shigeru、Miyata Hiroaki、Eguchi Susumu、Ohdan Hideki、Umeshita Koji、Gotoh Mitsukazu
  • 雑誌名: PLOS ONE 巻: 18 ページ: ‐
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0280569
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Annual report on National Clinical Database 2020 for gastroenterological surgery in Japan (2023)
  • 著者名/発表者名: Y. Kajiwara, A. Takahashi, H. Ueno, Y. Kakeji, H. Hasegawa, S. Eguchi, T. Goi, A. Saiura, A. Sasaki, S. Takiguchi, H. Takeuchi, C. Tanaka1, M. Hashimoto, N. Hiki, A. Horiguchi, S. Matsuda, T. Mizushima, S. Marubashi, M. Gotoh, H. Konno, H. Yamamoto, H. Miyata, Y. Seto, Y. Kitagawa
  • 雑誌名: Ann Gastroenterol Surg 巻: ‐ ページ: ‐
  • 査読あり
• [雑誌論文] Cost of postoperative complications of lower anterior resection for rectal cancer: a nationwide registry study of 15,187 patients (2022)
  • 著者名/発表者名: Kumamaru Hiraku、Kakeji Yoshihiro、Fushimi Kiyohide、Ishikawa Koichi Benjamin、Yamamoto Hiroyuki、Hashimoto Hideki、Ono Minoru、Iwanaka Tadashi、Marubashi Shigeru、Gotoh Mitsukazu、Seto Yasuyuki、Kitagawa Yuko、Miyata Hiroaki
  • 雑誌名: Surgery Today 巻: 52 ページ: 1766～1774
  • DOI: 10.1007/s00595-022-02523-6
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Geriatric Risk Prediction Models for Major Gastroenterological Surgery Using the National Clinical Database in Japan (2022)
  • 著者名/発表者名: Kofunato Yasuhide、Takahashi Arata、Gotoh Mitsukazu、Kakeji Yoshihiro、Seto Yasuyuki、Konno Hiroyuki、Kumamaru Hiraku、Miyata Hiroaki、Marubashi Shigeru
  • 雑誌名: Annals of Surgery 巻: 275 ページ: 1112～1120
  • DOI: 10.1097/SLA.0000000000004308
  • 査読あり / オープンアクセス