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2020 年度 実施状況報告書

mTOR阻害剤と低酸素活性化プロドラッグ併用による大腸癌治療

研究課題

研究課題/領域番号 19K09114
研究機関東京大学

研究代表者

金子 学  東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (10790850)

研究分担者 石原 聡一郎  東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00376443)
田中 敏明  東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (30647540) [辞退]
畑 啓介  東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (60526755) [辞退]
野澤 宏彰  東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80529173)
川合 一茂  東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80571942)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード大腸癌 / mTOR阻害剤 / 低酸素プロドラッグ / アポトーシス
研究実績の概要

2年目の本年度は、mTOR阻害剤(Temsirolimus)と低酸素プロドラッグ(AQ4N: Banoxantrone dihydrochloride)との併用が大腸癌細胞株に及ぼす影響についての検討を、条件を変えながらin vitroで 行った。AQ4Nが抗腫瘍効果を発揮するためにはシトクロムP450で還元・活性化され、AQ4となる必要がある。大腸癌細胞中のシトクロムP450の量は、細胞株にもよるが概ね少なく有効な結果が得られにくかったため、in vitroの検討ではAQ4Nの還元・活性化型であるAQ4を用いて実験を行った。
まず、大腸癌細胞株の増殖抑制効果を検討した。Temsirolimus単剤と比較し、TemsirolimusとAQ4との併用は大腸癌細胞株の増殖を相加的に抑制することをMTS assayで確認した。
増殖抑制効果の機序として、まずCell cycleについて検討したところ、AQ4は大腸癌細胞株の細胞周期をG2/M期で停止させることがわかった。しかし、Temsirolimusの上乗せ効果は認められなかった。
次いでapoptosisの誘導をFlow-cytometryを用いて測定したところ、Temsirolimus単剤と比較し、TemsirolimusとAQ4との併用は大腸癌細胞株のapoptosisを相加的に増加させることがわかった。Western blot法にてmTORやその下流の蛋白発現について 正常酸素環境下、低酸素環境下で検討したところ、TemsirolimusとAQ4の両者はともに低酸素環境下で低酸素誘導因子(HIF-1α: Hypoxia-inducible factor 1-alpha)の発現を抑制することがわかった。
現在、TemsirolimusとAQ4との併用での、大腸癌細胞株の細胞増殖に関わる他の蛋白の発現について検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

低酸素プロドラッグが抗腫瘍効果を発揮するためにはシトクロムP450で還元・活性化される必要がある。in vitroの実験での癌細胞中のシトクロムP450の量は、細胞株にもよるが概ね少なく、有効な結果が得られにくかった。in vitroの検討ではAQ4Nの還元・活性化型であるAQ4を用いて実験を行っているが、低酸素環境条件での検討は条件設定が難しく難渋しているが、さらに検討を重ねていく予定である。

今後の研究の推進方策

In vitroでの検討をさらに行い、その後にin vivoでの検討を行う。マウス大腸癌細胞株であるColon26をBALB/cマウスの側腹部に皮下注射する。3週間程度で皮下腫瘍 の形成を確認してからmTOR阻害剤単剤、低酸素プロドラッグ単剤、mTOR阻害剤と低酸素プロドラッグ両者を腹腔内に投与する。投与開始後3週目にマウスを sacrificeし腫瘍を採取する。採取した腫瘍を用いて、p-mTOR、p-70S6K, 4E-BP1, cyclin D, HIF-1α, VEGF、 Bcl-2, Bcl-xL, Bax, Caspase-3,8,9, Cleaved caspase-3,8,9, PARP, Cleaved PARPなどの発現を免疫染色、フローサイトメトリー、western blot法などにて行う。

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公開日: 2021-12-27  

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