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2019 年度 実施状況報告書

脂肪幹細胞を用いた術後肝障害に対する新規予防治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K09118
研究機関名古屋大学

研究代表者

尾上 俊介  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20807515)

研究分担者 梛野 正人  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20237564)
江畑 智希  名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (60362258)
横山 幸浩  名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (80378091)
國料 俊男  名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378023)
山口 淳平  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00566987)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード術後肝障害 / 脂肪幹細胞 / 周術期対策
研究実績の概要

高度な侵襲を伴う消化器外科手術において術後合併症、特に肝切除術後に発生する肝障害は大きな問題である。本研究の目的は術後肝障害に対する脂肪幹細胞を用いた新規周術期対策を開発することである。
【マウス肝切除モデルでの脂肪幹細胞シートによる肝障害抑制効果の検討】マウス肝臓の切除により30%肝切除モデルを作成した。肝切除部位へのマウス脂肪幹細胞シートを貼付し、脂肪幹細胞シート貼付後の腹腔内所見を検討した。脂肪幹細胞シートの脱落を認めなかったが、貼付周囲に癒着を認めた。また腹水貯留や感染を疑わせる所見はなかった。
マウス肝臓にパンチにより穴を開け、部分肝切除モデルを作成した。部分肝切除モデルの肝臓欠損部にマウス脂肪幹細胞シートの充填を行ない、脂肪幹細胞シート充填後の腹腔内所見を検討した。貼付2日後に貼付周囲に癒着を認めたが、充填した脂肪幹細胞シートは肝臓欠損部に生着していた。また腹水貯留や胆汁の漏出、感染を疑わせる所見はなかった。
ラット胆管空腸吻合モデルに対して脂肪幹細胞チューブによる置換術を行なった。吻合部の生着が不十分であり、炎症反応を認め、有効性の確認はできなかった。
【脂肪幹細胞シートの規格化の検討】脂肪幹細胞のシート化に磁石を用いているが、磁場が不安定なため、脂肪幹細胞シートの細胞分布に不均一が生じている。臨床応用に関しては、規格化が重要であり、シート化機器開発をおこなった。試作機器によるヒト脂肪幹細胞のシート化に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マウス肝切除モデルでの脂肪幹細胞シートの貼付による有効性が確認できた。しかし、DNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析などの検討が不十分なため、肝障害抑制に関連している遺伝子の同定ができていない。脂肪幹細胞シートの規格化のための機器開発ができ、試作機で脂肪幹細胞のシート化に成功している。

今後の研究の推進方策

【マウス肝切除モデルでの脂肪幹細胞シートの作用機序の検討】
マウス肝臓にパンチにより穴を開け、部分肝切除モデルを作成する。部分肝切除モデルの肝臓欠損部に脂肪幹細胞シートの充填を行ない、脂肪幹細胞充填群と非充填群において肝障害度を血液生化学検査(白血球、CRP、ALT、AST、T-Bil、Alp、γ-GTP、ヒアルロン酸、AT-III、Alb etc.)、病理組織学的検査(TUNEL染色による肝組織アポトーシス)にて検討する。脂肪幹細胞投与4日目に切除肝臓の重量より肝再生を評価する。脂肪幹細胞シート充填部のDNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行う。脂肪幹細胞投与により肝再生の促進および肝障害抑制に関連している遺伝子を同定し、肝再生および肝障害に関連するシグナル伝達機構を明らかにする。
【ラット門脈塞栓モデルでの脂肪幹細胞の作用機序の検討】
ラット門脈結紮による門脈塞栓モデルを作成する。ラット門脈塞栓モデルへ脂肪幹細胞を投与した脂肪幹細胞投与群と非投与群において肝障害度を血液生化学検査、病理組織学的検査にて検討する。脂肪幹細胞投与4日目に切除肝臓の重量より肝再生を評価する。
【ラット化学療法関連肝障害モデルでの脂肪幹細胞の肝障害抑制効果の検討】
ラットへのOxaliplatinの5mg/kg、週2回、4週間投与によるラット晩期肝障害モデルとOxaliplatin投与量を増量し、投与期間を短縮したラット早期肝障害モデルにおいて、Oxaliplatin投与前に脂肪幹細胞の予防的投与をおこなう。Oxaliplatin最終投与から7日目に肝障害度を血液生化学検査、病理組織学的検査にて検討する。Oxaliplatin最終投与後に脂肪幹細胞の投与を行なう。脂肪幹細胞の投与7日目に肝障害度を血液生化学検査、病理組織学的検査にて検討する。

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公開日: 2023-12-25  

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